HOME |商船三井、2021年度からの3カ年で、脱炭素分野に約2000億円投資。石炭輸送船の需要減少で天然ガス輸送を重視。「2050年ネットゼロ目標」も設定。国内海運大手で初(RIEF) |

商船三井、2021年度からの3カ年で、脱炭素分野に約2000億円投資。石炭輸送船の需要減少で天然ガス輸送を重視。「2050年ネットゼロ目標」も設定。国内海運大手で初(RIEF)

2021-04-05 21:35:06

MOL001キャプチャ

 

 商船三井は5日、2021年度から23年度までの3カ年の経営計画骨子を発表した。エネルギー輸送では、脱炭素の進行で一般炭の荷動きは回復せず、代わりに天然ガス(LNG)が年3%台後半の伸びを続けると推計。鉄鋼石も中国の粗鋼生産の頭打ちで減少に転じるとしている。こうした展望の中で、LNG燃料船の導入など、脱炭素分野に2000億円を投資する。

 

 オンラインで記者会見した同社の橋本剛社長は「脱炭素に向け、20年代の次世代燃料の大本命はLNG」と強調した。LNG輸送需要の増大に対応するため、大型のLNG燃料船を積極的に導入する。今後10年ほどで全体の3~4割を順次、LNG燃料船に切り替えていくとみられる。

 

 新たな環境戦略では、同社の「環境ビジョン2.0」を「同2.1」に改定して取り組みを加速する。新ビジョンの主なポイントは、「ネットゼロエミッション目標時期」を2050年までに前倒しするほか、温室効果ガス(GHG)削減のロードマップ策定、社内でのインターナルカーボンプライシング制度の導入、グリーン代替燃料の導入、省エネ技術導入、効率運航深度化の推進等を掲げている。

 

 ポートフォリオ戦略としては、「環境低負荷」や「低炭素」事業を拡大する。LNG需要増を前提として、LNG船、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備 (FSRU)、発電船に力を入れる。また洋上風力発電事業への参入も進める。営業戦略では、環境負荷と低減効果を可視化するサービスを展開する。 顧客ニーズを先取りしたカーボンフットプリント情報の開示体制とデータの整備、GHG排出削減に寄与する運航効率の改善と「見える化」等を進める。

 

 LNG燃料船を重点化するものの、LNG燃料船は重油燃料船よりCO2排出量は削減されるものの、同じ化石燃料には変わりはない。GHG排出量の実質的削減をさらに進めるために、今後、水素やアンモニアなどのカーボンフリー燃料への転換も目指すとしている。2050年のネットゼロ目標は、メーカーや金融機関等が掲げるが、国内海運大手では初めての設定となる。従来の商船三井のネットゼロ目標は「今世紀中」だった。

 

https://www.mol.co.jp/ir/management/plan/pdf/material_2021.pdf