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2016年度の固定価格買取制度(FIT) 非住宅用太陽光発電は1kW当たり25円に引き下げ有力に(各紙)

2016-01-20 14:05:27

FITキャプチャ

 

  経済産業省は固定価格買取制度(FIT)の2016年度の買取価格の見直し作業に入った。市場関係者の見通しでは、これまで再生可能エネルギーの中心だった太陽光発電の価格(非住宅用)は、現行の1kW当たり27円から25円に引き下げが有力視されている。

 

 FIT発電の買取り価格は資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会が審議する。2012年の制度スタート時点での買取り価格は、非住宅用(10kW以上)が40円だったから、16年度価格が25円になると37%の削減となる。住宅用(10kW未満)は現行の33~35円を30円前後までに下げる可能性があるという。制度発足後のこれまでの4年間で、住宅用は7~9円、非住宅用は13円、価格が下がっている。

 

 太陽光発電の価格をさらに下げる方向になっているのは、発電設備の費用が引き続き下がっているため。一方、風力発電や中小水力、地熱の買取価格は据え置く方針。バイオマスについては種類によって変更もあり得るという。

 

 太陽光発電の設備費用のうち、低下が大きいのはシステム費用。資源エネルギー庁の調べによると、2012年度は1kW当たり32.5万円だったが、15年は29.0万円と10%以上下がっている。2014年と2015年では平均して1.8万円の費用低下になるという。

 

 このため、2016年度の買い取り価格の前提となるシステム費用は削減分を反映させた1kW当たり27万円になるとみられる。システム費用以外の土地の造成費や接続費などの初期にかかる資本費、稼働後の運転維持費、発電量を左右する設備稼働率、事業者の採算性を見込んだIRR(内部収益率)などはほぼ変わらないとみられることから、最終的には買取り価格は1kW当たり25円が有力とみられている。

 

  現在の家庭向けの電気料金の平均単価が24円程度であることから、非住宅用の買い取り価格が25円になると、太陽光発電の買取価格はほぼ電気料金の現行水準と同レベルになり、グリッドパリティに近づく。

 

 10kW以下の住宅用の買取価格も現行の33~35円が30円前後に下がる見通しだ。理由は、住宅用の発電システムの導入費用も1kW当たり1万円ほど安くなっている点に加え、太陽光パネルやパワーコンディショナーの性能向上によって設備稼働率が高くなっている点があげられる。住宅内で消費した後の電力の余剰率(売電率)は想定値の60%から70%に高まり、売電収入が増える状況になっているという。

 

 ただ、住宅用の太陽光発電設置を政策的に普及させるために、買い取り価格の引き下げ幅を縮小する可能性もある。

 

 太陽光を以外の風力など4種類の再生可能エネルギーの買取り価格は、基本的に据え置く方向とみられる。そのうち、バイオマスは燃料となる未利用木材と廃棄物で燃料費の上昇が見られる半面、メタン発酵ガス化発電の場合はシステム費用と運転維持費ともに従来の想定値を下回るという状況が起きており、調整される可能性がある。

 

 経産省は今後、太陽光を中心に全体的には買取価格の水準を引き下げながら、発電事業者の導入意欲を維持するため、固定価格制から変動価格制へ移行していく方針だ。非住宅用の太陽光には、コスト効率が最高水準の発電システムを前提にした「トップランナー方式」を、メガソーラーのような大規模な発電設備には「入札方式」を導入する方針とされる。

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1601/20/news043.html