HOME |英ヒンクリー・ポイントCの原発建設問題。建設主体の仏電力EDFの決定、さらに延び、早くて夏、場合によると1年後。労使間協議を最優先へ(RIEF) |

英ヒンクリー・ポイントCの原発建設問題。建設主体の仏電力EDFの決定、さらに延び、早くて夏、場合によると1年後。労使間協議を最優先へ(RIEF)

2016-04-25 11:15:08

HincleyPointC1キャプチャ

 

 英国で焦点となっているHinkley Point C(ヒンクリー・ポイントC)原発の建設問題で、事業主の仏電力EDFの決定が、当初予定していた5月から、大幅に遅れる見通しとなった。早くても今夏、場合によると来年に持ち越される可能性も指摘されている。

 

 ヒンクリー・プロジェクトは、欧州加圧水型(EPR)原発で、東京電力福島原発事故後に、安全対策を強化したことで、総事業費が180億ポンドに膨らんでいる。また、英国政府の補助金を加えても販売する電力料金が現状の3倍になる、中国資本の出資を受けないと事業が成立しないなど、実現可能性への疑問が生じている。

 

 EDFの経営に与える将来の負担も大きいとして、同社のCFOが春に辞任したことで英仏間で議論が続いている。CFOの辞任が、EDFの経営に与える負荷の大きさを懸念してのものだったとされることから、EDFの複数の労働組合からも計画自体への疑念が表明されていた。

http://rief-jp.org/ct4/60087?ctid=76

 

 仏政府は、ヒンクリー問題が英仏両国で政治問題化しないように、と、事態の改善に努めてきた。さらに仏経済相の Emmanuel Macron氏は、ヒンクリーへのゴーサインは5月12日の株主総会前に出る、と宣言していた。

 

 しかし、同社取締役会は労使間の不協和音をこれ以上拡大することは望ましくない、と判断。社内での各組合との内部労使協議会(IUMC)での了解を、事業承認の前提にすることを決めた。

 

 その結果、今回の株主総会での了承を得られないことになる。また、仮に夏にIUMCの合意が得られたとしても、株主総会の了承は来年まで延びる。事業承認は早くても1年後の見通しが強まっている。

 

 同社の発表によると、取締役会は、今回のIUMCについて「公式だが拘束力のないコンサル・プロセス」と位置付けている。また、協議の詳細な点については、組合側と今後、詰めていく、としている。

 

 ただ、いったん仏経済相が5月の株主総会前の決着を宣言しながら、労使協議で決着の先延ばしが選ばれたことは、EDF自体の経営問題の深刻さを指摘する向きもある。

 

 EDFは経営が行き詰まった原発メーカーのアレバを吸収、原発電力の機器製造から、発電、販売まで、一貫して行う体制となっている。

 

 その一方で、原発電力のコストアップと、欧州では日本以上に安全性への懸念が高いことから、ヒンクリー計画を除外しても、「原発電力」のEDFが抱える経営課題は山積み。今後、政府によるEDF救済の可能性も語られ始めている。

https://particulier.edf.fr/fr/accueil.html