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太陽光発電関連業者の倒産増加 毎年のFIT制度の買い取り価格引下げが影響。「政策倒産」の声も。帝国データバンク調べ(RIEF)

2016-06-10 18:28:26

teikokudataキャプチャ

 

 帝国データバンクのまとめによると、太陽光発電関連業者の倒産件数が年々増加傾向を辿り、2016年1~5月には前年同期を上回るペースとなっている。経済産業省が固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格を毎年、引き下げていることが、業績悪化につながっていると指摘している。

 

 対象となった太陽光関連企業は、太陽光発電システム販売や設置工事、コンサルティングなど、関連事業を「主業」として手がける企業のほか、「従業」として太陽光関連事業を手がける企業も含めている。太陽光発電関連の市場は2012年7月に始まったFIT制度を機に急成長した。しかし、2014年をピークに低下傾向となっており、倒産数もそれに伴って増加している。

 

 2006年1月から16年5月までの関連企業の累積倒産件数は151件。FIT制度が始まった翌13年に17件、14年が21件、15年は7割増の36件と急増している。今年は4月に電力自由化が始まったが、1~5月の倒産件数は17件と、前年同期の13件を上回る勢いで推移している。

 

 帝国データでは、倒産増加の原因として、FITによる太陽光発電の買い取り価格が4年連続で引き下げられ続けていることから、企業向け、家庭向けの両方で収益が悪化したことをあげている。FITの買い取り価格は12 年度は企業向けが1kW時40 円、家庭向けが同42 円だったが、16 年度は企業向けが1kW時24 円、家庭向けも25‐33円へ大幅に下落している。

 

 新制度によって新規参入が増えたが、短期間での政策変更によって、市場退出を迫られる企業が続出したことで、「政策倒産」の声も出ている。負債総額も13 年47 億4800 万円、14 年44 億8200 万円、15 年が91億2700 万円と、年々増加している。

 

 負債規模は、1000万~5000万円がもっとも多く全体の35.8%を占める。1億~5億円未満が53件(35.1%)、5000万~1億円未満が23件(同15.2%)となっている。負債1億円未満の小規模倒産が全体の51.0%を占めていることでもわかるように、中小企業にしわ寄せが集まった形だ。

 

 地域別では、関東の企業倒産が59 件と全体の39.1%を占めた。次いで、九州が30 件(19.9%)、中部の25 件(16.6%)、東北、近畿の14 件(各9.3%)と続く。関東の場合、東京都が21 件ともっとも多く、九州では福岡県が13 件、中部では愛知県が12 件、東北では宮城県が12 件、近畿では大阪府が10 件となっている。

 

 最近の比較的大型の倒産事例としては、今年4月に起きた日本ロジテック協同組合の負債約162億8244万円や、昨年12月のジャパンエネルギーグループ(負債総額18億800万円)、昨年3月のリベルテ(17億3000万円)などがある。

 

 太陽光発電関連企業の資本金は5000万円未満が全体の90.8%を占めており、過小資本の企業が多い。また、太陽光関連事業を主業とする倒産企業89社のうち、全体の68.6%が業歴10年未満で、資本が少なく、業歴の浅い企業の倒産が目立つ。FIT制度自体、導入されて4年目の新しい制度だが、不安定な政策方針が、弱小企業を振り回しているといえる。

 

 帝国データバンクは「FITを機に太陽光関連市場は急成長し、太陽電池出荷量も倍増した。しかし、バブルは瞬く間に終息し、電池の出荷量も減少に転じ、環境は一変している。ここにきて、太陽光関連企業はさらなる曲がり角を迎えている。今後、業界に本格的な再編・淘汰の波が押し寄せるかもしれない」と指摘している。

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p160601.pdf