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宮城・東松島市と積水ハウス 国内初のマイクログリッドシステム稼働。電力の地産地消を実現。防災エコタウン内で太陽光発電と蓄電併用でCEMSを確立(RIEF)

2016-06-24 16:30:16

matsuhshima2キャプチャ

 

 宮城県東松島市で、同市と積水ハウスが進めていた国内初のマイクログリッド(小規模電力網)が稼動した。太陽光発電の電力を固定価格買い取り制度(FIT)で売らず、一定の敷地内の公共施設等で使う。東日本大震災後に整備された災害公営住宅「スマート防災エコタウン」で、“電力の地産地消”が動き出した。

 

 スマート防災エコタウンは環境配慮型の災害に強い復興団地として震災後に整備された。災害で万一、系統電力が遮断されても、非常用発電機によってマイクログリッド内では3日間は自給自足が可能。これを可能にするマイクログリッドの構築費用は約5億円。このうち4分の3は環境省の「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」補助金が使われ、残る約1億2000万円は電力小売りの収益でまかなう計画。

 

 電力は地域新電力事業者の一般社団法人「東松島みらいとし機構(HOPE)」が供給する。敷地内の調整池や集合住宅の屋根などを利用した太陽光発電と大型蓄電池(480kWh)の組み合わせ分と、バイオマス燃料を使うバイオディーゼル非常用発電機(500kVA)で確保する。エコタウン内の電力需要は899kWなので平時は十分自給できる。ただ、足りない場合は連携した系統から購入する。

 

 FITを使って他の電力会社に売電する場合は通常は託送料がかかる。マイクログリッドの場合は、敷地内で使うため託送料の分が安くなる。HOPEの電力は、CEMS(Community Enwergy Managment System)によって自動的に最適制御され、タウン内の公営住宅や4つの病院、公共施設等を自営線によって供給される。

 

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  電力の供給は、昼間は太陽光発電電力を地域内の自立電源として使用し、余った分は蓄電する。一部は、市が保有する低炭素型発電所を系統電力網を経由して調達、売電する。夜になると、昼間に蓄電した電力を活用し、系統からの調達は減らす。

 

  支払われた電気料金は、市内で消費者らによって循環され、市外への富の流出を防ぐとともに、地域経済活性化に資する期待がある。電力を自給自足化することで、消費も、雇用も、地域内で新たに創生されるわけだ。また太陽光発電なので、年間256㌧のCO2排出量を削減できる。

 

matsushima1キャプチャ

 

 発電能力は今後も拡大をし続ける。現状の発電能力に加えて、地域内外の農家が設置する小型風力発電所や太陽光発電なども、段階的に自主電源として組み入れていく方向だ。最終的には、市内3000戸、5万kWの供給力を整備する計画だ。HOPEの理事長、大滝精一東北大学教授は「電力の地産地消を自然体に広げて、少子高齢化するコミュニティーでも安心、安全な生活を支えるインフラを築けることを示したい」としている。

 

マイクログリッド 太陽光発電等の自然エネルギーを含む複数の発電・蓄電設備をネットワーク化し、電力需要にあわせて最適制御して安定的に電力を供給するシステム。基本的に既存の電力系統から独立するシステムだが、過不足分の調整のために系統電力ともやり取りする。再エネ発電を基本とし、CO2排出量削減に寄与する。

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2016/06/13/20160613.pdf