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世界のクリーンエネルギー投資、今年上半期は前年比23%減の1164億㌦。前年の急増の反動(?)。市場の力強さに懸念も。Bloomberg NEFの調べ(RIEF)

2016-07-15 16:28:49

Bloomberg4キャプチャ

 

 Bloomberg NEFによると、今年上半期の世界全体でのクリーンエネルギー投資は、1164億㌦で前年比23%減と大きく下がった。ただ、Bloombergは、昨年がパリ協定を前にした駆け込み投資が集中したためと説明している。

 

 同社のまとめでは、第二四半期の総投資額は615億㌦で、第一四半期の549億㌦より12%増加した。ただ、前年同期比では32%減と大きく下がった。昨年第二四半期は900億㌦と、四半期ベースで過去最高の投資額だった。

 

 対象となる投資事業は①再生エネルギー分野②エネルギー・スマート技術③低カーボンサービスの3分野。①の分野では、太陽光、陸上・洋上の風力、バイオマス・廃棄物発電、バイオ燃料、地熱発電、海洋発電、小規模水力への投資。②の分野では、デジタルエネルギー、エネルギー効率化の3分野、燃料電池、水素、蓄電技術、電気運輸。③はカーボン市場、一般的金融と法的サービス、クリーンエネルギーのサービス支援、など。

 

 全体的には昨年に比べて投資額は減ったが、伸びた地域もある。欧州の上半期は前年4%増の335億㌦、ブラジルも36%増の37億㌦と市場回復の傾向をみせた。ただ、それ以外の大半の地域は前年よりも投資額が減った。最大の市場である中国は 337億㌦で34%減、インドも38億㌦で1%減、両国を除く他のアジア・太平洋地域全体では121億㌦で、47%減だった。

 

 米国は231億㌦で5%減、中東42億㌦で46%減、米国とブラジルを除いた南北アメリカは23億㌦で63%減など。

 

 Bloomberg NEF会長のMichael Liebreich氏は「今年のクリーンエネルギー投資は昨年の規模に達しないだろう。特に中国の風力と太陽光への昨年の投資額は、従来の推計よりもさらに高かったことがわかった。その反動と、今年は電力需要が減退していることと、政策方針の違いも影響している」と指摘している。

 

 もう一つの投資減退の要因としては、太陽光パネルや同建設費用の低下が各国でおきていることもある。投資対象は必ずしも減っていないが、一件当たりの投資金額が下がっているというわけだ。さらに、太陽光投資の場合、投資対象事業の規模が従来は小規模事業が多かったが、発電容量がギガワットクラスの大規模事業が増え、その分、投下資本当たりの費用が低下していることもある。

 

 しかし、グローバル経済が全体的に伸び悩み傾向にあることの影響は否めない。投資資金がクリーンエネルギーン分野にまで十分に回らない経済環境になっているようだ。

 

BloomebrgChinaキャプチャ

 

 昨年の投資額自体、従来の3289億㌦から200億㌦上積みした3485億㌦に修正された。これは中国と米国での風力と太陽光事業の投融資額が290億㌦上方修正されたことと、日本を中心に、住宅等の屋根置き太陽光発電の投資額が100億㌦下方修正されたことなどを調整した結果だ。

 

 Bloomberg NEFのエネルギー専門家のAbraham Louw氏は「今年上半期の投資の伸びが前年比で大きく下がったことを、あまり否定的に受け止める必要はない。昨年の投資が急増したのが大きな要因だ。昨年1年間の実績は、前年比で11%増、2013年比では30 %も増加した」としている。

 

 ただ、今年の下半期も上半期と同じ投資額だとすると、2300億㌦台にしかならず、クリーンエネルギー投資に急ブレーキがかかる形になるのは間違いない。パリ協定に基づく各国の国内温暖化対策が明確に示されないと、市場の投資意欲は十分には高まらない、といえるだろう。

 

https://www.bbhub.io/bnef/sites/4/2016/07/20160714_BNEF_Clean-energy-investment-Q2-2016-factpack.pdf