マケナ氏はこうした考えをカナダ地元のTVで語った。ただ、連邦政府のこうした方針に対して、独立色の強いカナダの州の中には、難色を示すところもある。このためマケナ氏はサスカチュワン州をはじめ各州を訪問、説得活動を続けてきた。
同氏はカーボン価格付けに難色を示している州に対して連邦規制を強制するのかどうかと問われ、「『強制』という言葉は好まない。実際に国全体のカーボン価格付けはむしろ一つの新たな機会となるもの」と指摘した。
カナダは価格付け政策と企業のGHG排出量情報開示のルール化を同時に導入する考え。これにより、排出削減力のある企業はそうでない企業より市場競争で優位に立てることになる、と説明している。
ジャスティン・トリュドー首相とカナダ各州の州首相は、3月、パリ協定を前提として、国全体の排出削減計画を秋までにまとめることで合意している。その合意には、各州の事情を考慮した価格付け政策等の採用を条件としている。
カーボンへの価格付け政策としては、C&Tなどによる排出権取引制度のほか、カーボン税を課す方法がある。カナダの場合も、両政策をベースとするとみられるが、石油・ガス生産州においてCCSの導入を組み合わせる案も考えられる。
マケナ氏は、すでにカナダの主要企業とも調整を進めている。「Carbon Pricing Leadership Coalition」を構成するAir Canada やSuncor Energy Inc.などの合意も得ているという。カーボンに標準的な価格が付くことで、排出削減投資が合理的に評価され、技術開発のインセンティブにもなるためだ。