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入社1年目の電通社員、長時間労働強いられ自殺 残業月105時間。パワハラの疑いも。労基署は労災認定。1991年に同様の問題起こすも、電通の社内体質改善せず(各紙)

2016-10-08 18:06:16

dentsuキャプチャ

 

   各紙の報道によると、広告大手の電通で、入社1年目の女性社員(当時24)が昨年末に自殺したのは、長時間の過重労働が原因だったとして、東京・三田労働基準監督局が労災認定した。電通では1991年にも、入社2年目の男性社員が長時間労働が原因で自殺、最高裁判決で会社の責任が認定されたが、同社の社員の人権無視の体質は一向に変わっていないといえる。

 

 亡くなったのは、高橋まつりさん。昨年12月25日、都内の電通の女子寮で投身自殺した。労働監督局の認定は9月30日。遺族と代理人の川人博弁護士が7日、会見で明らかにした。

 

 高橋さんは東大文学部を卒業、昨年4月に電通に入社。インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属された。代理人弁護士によると、10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。2か月前の約40時間から、急増していた。11月上旬にはうつ病を発症したとみられる。

 

 しかし代理人弁護士によると、電通は従業員に対しては、労基署に届け出た時間外労働の上限を超えないよう、「勤務状況報告書」を作成するよう指導していたという。

 

 高橋さんは自殺の前から、SNSで「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」などのメッセージを同僚・友人らに送っていたという。また遺族側によると、上司から「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」と言われるなどのパワハラもあったという。

 

 三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論づけた。パワハラの有無については判断していないという。

 

 高橋さんが所属していたインターネット広告関連の部署では、先月、広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していた事件が発覚している。その際、電通は、当該担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置すべきだった」として経営に責任があるとしていた。

 

 電通は「社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないので、コメントは差し控える」としている。

 

 都内で記者会見した母親の高橋幸美さん(53)=静岡県裾野市=は「労災認定されても娘は二度と戻ってこない。過労死等防止対策推進法が制定されたのに、過労死は起きた。命より大切な仕事はない」と訴えた。

 

 厚生労働省が7日発表した「過労死白書」によると、2015年度に過労死で労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む)による労災認定は93人。過労死による労災認定は2002年度に160人にのぼったが、14年ぶりに100人を割った。ただ、過労死・過労自殺(同)をあわせた認定件数は近年、200件前後で高止まりしている。

 

 企業約1万社を対象にした調査では、1カ月の残業が最も長かった正社員の残業時間が「過労死ライン」とされる80時間を超えた企業は22.7%と、2割以上ある。特に、「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」では4割を超えた。

 

 2014年に施行された過労死等防止対策推進法は、過労死の防止策を進める責任が国にあることを明記しているが、その責任を果たす明確な対策は十分に講じられていない。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016100802000117.html

http://digital.asahi.com/articles/ASJB75197JB7ULFA022.html?ref=nmail