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東芝 CO2と水+太陽光エネルギーの人工光合成で ペット容器原料生産 2020年の実用化目指す。CCSよりいいかも(各紙)

2016-10-13 19:57:10

toshibaキャプチャ

 

 東芝の研究開発センターは太陽光のエネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水から、ペットボトルなどに使う樹脂の原料を作る技術を開発した。火力発電所や工場などが出すCO2の有効活用につながる。2020年代の実用化を目指す。

 

 

 日経産業新聞が報じた。同センターのトランスデューサ技術ラボラトリーの御子柴智研究主幹らが開発した。これまで人工光合成技術の開発は、CO2を一酸化炭素(CO)やギ酸などの2電子還元物質に変換する技術が主だったが、東芝は昨年、開発した分子触媒を使って、CO2を多電子還元物質の工業原料エチレングリコールに変換することに成功した。

 

 植物のように太陽光のエネルギーから有用物質を作る人工光合成技術の一種だ。合成したのはエチレングリコールという物質。化学反応を促すため、炭素や水素、窒素などの有機物を組み合わせた分子触媒と呼ぶ特殊な物質を使った。

 

 エチレングリコールは、ペットボトルに使うポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の原料や自動車のエンジンの不凍液などに利用されている。

 

 イミダゾリウム塩と呼ぶ有機物でできた特殊な物質を分子触媒に使い、金の基板の表面をびっしり覆うように取りつけた。太陽光パネルが発電した電気を流すと、分子触媒が電子を受け取ってCO2と水素イオンをくっつける反応を起こす。

 

 今回の技術では、CO2が13gから9gのエチレングリコールを合成できる。これで500mlのペットボトルを作ることができるという。

 

 エネルギーの変換効率(合成した物質を燃やした時のエネルギー量を、投入した光エネルギーで割る)は、0.48%。植物の中で光合成の効率が高いといわれるトウモロコシの約0.8%よりは劣るが、雑草の一種のスイッチグラスの0.2%程度の倍以上ある。

 

 このため、今後はもっと安価な材料を使う技術の開発を進めて、コストダウンを図る計画だ。東芝は火力発電所や工場の排ガスに含まれるCO2を分離し、エチレングリコールを合成する利用法を想定している。CO2の処理としては、吸収して地中等に埋めるCCS(回収・貯留)の技術開発が進められているが、今回の技術は、より簡単に処理でき、副生物の経済的価値もあるため、コストダウンが出来れば、有望なグリーン技術として展開できそうだ。

https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1509_01.htm