HOME5. 政策関連 |モントリオール議定書会議(MOP28) 代替フロンのHFC、段階的生産規制で合意。日本など先進国は2036年までに85%削減。冷蔵庫等は自然冷媒中心に(RIEF) |

モントリオール議定書会議(MOP28) 代替フロンのHFC、段階的生産規制で合意。日本など先進国は2036年までに85%削減。冷蔵庫等は自然冷媒中心に(RIEF)

2016-10-16 00:24:55

HFCキャプチャ

 

 ルワンダの首都キガリで10日から開いていたモントリオール議定書第28回締約国会議(MOP28)は14日、エアコンや冷蔵庫などの冷媒に使われる代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)を段階的に生産規制することで合意した。日本などの先進国は2036年までに生産量を85%減らす。

 

 締約国会議は議定書を改正し、HFCを規制対象として追加する案を採択した。先進国以外では、途上国では中国などが2045年までに80%削減、インドや産油国などは47年までに85%削減する。先進国は2019年から削減を開始する。

 

 1987年に採択されたモントリオール議定書は、紫外線を遮るオゾン層を破壊するフロン物質の使用禁止を打ち出した。対象となるフロンは2030年までに生産と消費が全面的に禁止される。

 

 そこでHFCが代替フロンとしてエアコン等への使用が広がった。しかし、HFCはオゾン層は破壊しないものの、CO2よりも数100~数1000倍も高い温室効果があることがわかった。このため、2009年以来、追加規制が議論されてきた。

 

 ただ、HFC規制に対しては、エアコン、空調等の将来需要の大きい途上国と、すでに規制準備を進めている先進国の間の調整が進まず、対立を続けてきた。しかし、来月にパリ協定の発効が確定したことで、世界的に地球温暖化対策への機運が高まっていることを受け、各国が歩み寄った。

 


 HFCを規制に加えることで、今世紀末までに0.5℃の気温上昇を抑えられるという。このためパリ協定が目指す産業革命前からの気温上昇を2℃以内に抑える目標の達成に、貢献する期待が高まっている。

 

 各国でのHFC規制は、複数の種類のあるHFCを、温暖化への影響が大きいものから優先して規制し、影響が小さい物質に切り替える段階的方式を採用することになる。HFC代替の冷媒としては自然冷媒が今後主流になるとみられる。

 

 HFC規制については、今年5月に日本で開いた主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で、年内の議定書改正を目指すことで一致していた。今回の締約国会議には、米国のジョン・ケリー国務長官が現地入りし、取りまとめのリーダーシップを発揮した。

 

 今回の議定書改正には日本も賛同を表明した。今後、メーカーや、業務用冷蔵庫などを使うスーパーやコンビニなどは、HFCを使用しない自然冷媒式の機器への切り替えが進むとみられる。自然冷媒機器の導入コストは現在のところ、HFCのものよりコストが高い。ただ、代替フロンを使わないことで規制対象外になり、点検コスト削減のほか、省エネ効果も見込める。

 

 現在のところ、日本にはHFCの生産や消費を明確に規制する法律が存在しないことから、環境省などが、今後、法改正などの準備に入る見通し。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page23_001540.html