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大気汚染で年60万人の乳幼児死亡、胎児にも影響 国連児童基金(ユニセフ)が報告書で警告(CNN)

2016-10-31 15:18:42

unisefキャプチャ

 

 (CNN) 国連児童基金(ユニセフ)はこのほど発表した報告書で、屋内や屋外の大気汚染によって死亡する5歳未満の子どもは世界で年間60万人に上るとの推計を明らかにした。大気汚染は出生前の子どもにも健康被害をもたらしていると指摘し、各国に対策を促している。

 

 「大気汚染は子どもの肺の発達を阻害するだけでなく、血液から脳に入って脳の発達に、そして子どもたちの未来に恒久的な被害をもたらす。どんな社会にも大気汚染を無視する余地はない」。ユニセフ幹部はそう強調する。

 

 報告書は、モロッコのマラケシュで11月7日から開かれる国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)を前に発表された。ユニセフはCOP22の参加国に対し、化石燃料の使用削減やエネルギーの効率化推進、子どもの健康を守るための対策強化などを求めている。

 

 報告書では、人工衛星の画像を使って世界の大気汚染分布を示し、屋外の大気汚染の程度が世界保健機関(WHO)の基準値を超す地域に住む子どもは約20億人と推計。内訳は南アジアが6億2000万人、アフリカ5億2000万人、東アジアと太平洋地域が4億5000万人で、低~中所得の国が大半を占める。

 

 屋外の大気汚染は特に低所得の都市圏で深刻な状況にあり、車の排ガスや化石燃料の使用、廃棄物のちりや焼却によって引き起こされているという。

 

 一方、この分布図には低所得の世帯が屋内で調理や暖房に使う石炭や薪といった固形燃料による屋内大気の状況は示されていない。ユニセフによると、こうした燃料を使っている家庭の子どもは10億人以上。例えばインドの地方部では安価で入手しやすい燃料として81%の世帯が固形燃料を使う。

 

 国民所得と家庭での固形燃料の使用には明らかな相関関係があるといい、ユニセフではバングラデシュやジンバブエなどの貧困国と連携して、大気汚染を発生させない調理用コンロの普及に力を入れる。

 

 

 大気汚染は、肺や免疫系が発達中の子どもにとって特に深刻な健康被害をもたらしかねないと報告書では警告した。

 

 その危険は胎児にも及ぶ。慢性的に微小粒子状物質にさらされると流産や早産のリスクが高まって出生率の低下につながることは、各種調査で裏付けられているという。

http://www.cnn.co.jp/world/35091386.html