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世界の都市部の気温、2100年までに8度上昇の恐れ。温暖化の影響とヒートアイランド現象が相乗効果に。欧州の研究チームが発表(AFP)

2017-05-31 22:44:36

heatキャプチャ

 

【5月30日 AFP】地球温暖化とヒートアイランド(都市高温化)現象の二重の打撃に直面することで、世界の一部の都市では2100年までに気温が8度程度上昇する可能性があるとする研究結果が29日、発表された。

 

 このような気温の急上昇は、都市住民の健康に悲惨な影響を及ぼし、企業や産業から利用可能な労働力を奪うとともに、水などのすでに逼迫(ひっぱく)した状態にある天然資源に圧力をかける恐れもある。

 

 今回の予測は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量が21世紀末まで上昇を続けると仮定した最悪事態のシナリオに基づくものだ。

 

 英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された研究論文によると、このシナリオの下では、人口が上位4分の1に入る都市は21世紀末までに気温が7度以上上昇する可能性があるという。一部の都市については、気温上昇幅の内5度近くが地球温暖化に起因すると考えられる。

 

 研究チームによると、残りはいわゆるヒートアイランド現象によるものと考えられるという。ヒートアイランド現象は、熱を放散する公園、ダム、湖などが、熱を伝導するコンクリートやアスファルトに取って代わられ、これによって都市部の気温が周辺部より高くなる場合に発生する。

 

 論文の共同執筆者で、オランダ・環境研究所(Institute for Environmental Studies)のフランシスコ・エストラーダ(Francisco Estrada)氏は、AFPの取材に「(人口が)上位5パーセント(の都市)は、8度以上の気温上昇に見舞われる可能性がある」と語った。

 

気温上昇による都市の経済損失は

 

 エストラーダ氏と研究チームは、都市の温暖化による将来の損失額を推算するために、平均の地球温暖化に関するさまざまな予測と、ヒートアイランドと潜在的な悪影響を組み合わせて用いた。

 

 その結果、サンプル範囲の真ん中に位置する中央値の都市では、年間損失額が2050年までに域内総生産(GDP)の1.4~1.7%、2100年までにGDPの2.3~5.6%に上るとの結論を得た。

 

「最悪の事態となる都市については、損失額が2100年までに最大でGDPの10.9%に達する可能性がある」と、研究チームは記している。

 

 ヒートアイランドによって、都市の気温と地球温暖化による経済的損失が「著しく」上昇すると、研究チームは付け加えている。

 

 このことは、植樹の促進、屋上や舗装道路からの放熱などのヒートアイランドの軽減を目的とする局所的な措置が、温暖化の抑制と損失の最小化に大きな違いをもたらす可能性があることを意味している。

 

 研究チームによると、地表面積の約1%にすぎない都市部は、生産高が世界総生産の約80%、エネルギー消費量が世界全体の約78%をそれぞれ占めているという。

 

 燃料の石炭、石油、天然ガスなどの燃焼で発生する二酸化炭素の排出については、都市部からの排出量が世界全体の60%以上を占めている。

 

 世界の国々は2015年に仏パリで、地球大気中の温室効果ガス濃度を抑制することにより、世界平均気温の上昇を産業革命前の水準から2度未満に抑えることを目標とすることで合意した。

 

 今回の最新研究では、1950~2015年の期間に世界の大都市1692都市で収集されたデータを使用した。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3130053?pid=0