HOME11.CSR |日本公認会計士協会。東芝決算の「意見不表明」をめぐり、PwCあらた監査法人への調査開始。監査法人の「監査力」の適正性が問われる(各紙) |

日本公認会計士協会。東芝決算の「意見不表明」をめぐり、PwCあらた監査法人への調査開始。監査法人の「監査力」の適正性が問われる(各紙)

2017-07-13 18:51:06

PWCキャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本公認会計士協会の関根愛子会長は13日の記者会見で、東芝の決算についての監査意見を3四半期連続で「不表明」としたPwCあらた監査法人に対して、監査の手続きが適正だったかどうかの調査を開始した、と発表した。関根会長は「「(処分するかどうかの)どちらの方向というのは一切ない」としている。

 

 公認会計士協会によるPwCあらたへの調査の実施については、4月の時点で報じられていた。今回、関根会長は正式に認めた。同監査法人は、16年3月期まで東芝の監査は新日本監査法人が担当していたが、東芝の不正会計を見抜けなかったとして、同法人は15年12月に金融庁から行政処分を受け、16年3月から監査業務はPwCあらたに引き継がれた。

 

 しかし、PwCあらたは、東芝の2016年4月~6月期の四半期報告書を「不表明」としたほか、その後の2期についても同じく監査意見を不表明とし、東芝の信用失墜の一因になったと指摘される。PwCあらたが不表明を続けたのは、東芝の米原子力発電事業ウェステイングハウスの会計処理や内部統制について、東芝側との見解の違いを埋めることができなかったため、とみられる。

 

 一方で、新日本監査法人から監査業務を引き継ぐに際して、東芝との間で一定の情報確認や意見交換等をしていたはずで、引き受けてから「見解の違い」で意見不表明をするのは、監査法人として不適切、との指摘も出ていた。

 

  公認会計士協会では、PwCあらたが東芝の決算に対して意見不表明を続ける経緯などを調査するとみられる。関根会長は、会見で、PwCあらたが監査意見の不表明に至ったことについて「深く憂慮している」と述べた。また調査によるPwCあらたへの処分の有無については、方向性を示さなかったものの、東芝とPwCあらたが協力して、早急に適正意見つきの有価証券報告書を提出するよう求める姿勢を示した。

 

 協会は同時に、それ以前に東芝の監査を担当していた新日本監査法人に対して、13日付けで2カ月間の会員権停止処分を出した。同処分は、協会長への提言ができないなど会員としての自主的な活動に若干の制約を受けるだけで、監査業務などは通常通り行なうことができ、業務には影響はほとんどない。形式的な処分といえる。

 

 ただ、関根会長は「強制加入である会計士協会の監査法人が処分を受けているのは、物理的な意味はなくとも、私自身は重い処分と考えている」と説明した。

 

 世界でも監査法人の業界は4大監査法人の寡占体制にある。今回の事態は、そのうちの2グループに属する監査法人が相次いで、「不透明な監査」だったか、あるいはその可能性があることを、協会自体が認めざるを得ない状況にあることを示している。監査の専門集団である監査法人の「監査力」の有効性が問われる形でもある。

 

 会計士協会による処分は、過去の監査の調査に当たる監査業務審査会、処分の要否を決める規律調査会、処分の具体的な中身を検討する綱紀審査会の3段階を経て決まる。関根会長は、一連の懲戒プロセスについて効果などを検証する必要があると述べた。

http://www.hp.jicpa.or.jp/index.html

http://jp.reuters.com/article/pwc-toshiba-idJPKBN19Y0F2?pageNumber=1