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「バドは半分グリーンなビール」。バドワイザーで有名な米アンハイザー・ブッシュ。風力発電電力の“大人買い”で,一気に総発電の半分を再エネ化。2025年にグループ全体で100%達成(RIEF)

2017-09-14 22:08:06

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   「バドワイザー」で有名な米国のビール会社、米アンハイザー・ブッシュ(AB)は、イタリアの電力最大手エネル傘下のEnel Green Power(EGP)が米オハイオ州で運営する風力発電購入契約を結んだ。購入量は同発電所が発電する電力のほぼ半分。AB全体の使用電力の50%でもある。ABはグループ全体で2025年に再エネ100%を宣言している。

 

 ABが導入する再エネ電力は、EGPがオハイオ州で建設を進める「Thunder Ranch wind farm」の電力。発電容量298MW、総発電量1,100 GWh、総投資額4億3500万㌦の大規模ウィンドファームだ。今年末に稼働の予定。このうちABは、発電容量のほぼ半分の152.5MW、総発電量610GWh分を購入する契約を結んだ。

 

 ABがこれらの電力を製造等に使ったとすると、12オンスの瓶ビール(355㍉㍑相当)換算で年間200億本以上生産できるという。「グリーンなバド(Bud)200億本分」というわけだ。ビール販売上でも、「環境にいいビール」は消費者にアピールするとみられる。飲み過ぎは「健康に悪い」が。

 

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 ABがこれまで使用する電力に占める再エネ電力は2%以下だった。今回の契約で一気に、電力の半分をグリーン化(再エネ化)できる。同社が同じ規模のウィンドファームともう一つ契約すれば、再エネ100%を達成できることになる。

 

 ABは現在は、ベルギーを拠点とする多国籍飲料企業、アンハイザー・ブッシュ・インヘブ(ABI)の傘下企業。親会社のABIは、事業で使うエネルギーを2025年までに再エネ100%に切り替える宣言をしており、主要子会社であるABの「半分達成」は大きなステップになる。

 

 米国市場で風力発電事業に力を入れているEGPにとっても、ビール会社への電力販売は今回が初めて。一社向けに発電量の半分を販売できることで、安定的な売電収入を確保できる。

 

EGPのサンダー・ランチ風力発電所の完成予想図
EGPのサンダー・ランチ風力発電所の完成予想図

 

 ABのCEO、João Castro Neves氏は「われわれは人々とともに、よりよい世界を築くことを目指している。再エネ電力の使用はCO2削減に貢献し、われわれの目指す目的に資する。再エネを使うことは環境にいいだけではない。わが社の自身の長期的な持続可能性につながる戦略的ビジネスでもある」と強調している。

 

  EGPのCEO、Antonio Cammisecra氏も「今回、ABとパートナーになったのは、素晴らしいことだ。同社との電力販売契約によって事業の成長が高まるだけでなく、電力価格の安定にもつながる。EGPが米国市場だけでなく、グローバル市場での存在感を高めるマイルストーンとなるだろう」と指摘している。

 

 親会社のABIは再エネ100%達成を目指す「RE100」宣言をしている。実現のためにはグループ全体の年間総電力量6TWh(テラワット時)を再エネ電力に切り替えねばならない。1TWは1000GWなので、今回、ABがEGPから購入契約を結んだ電力の約10倍の再エネ電力が必要になる。

 

 再エネ電力への旺盛な需要の高まりによる再エネ市場の拡大は、再エネ電力コストの低下につながり、CO2排出削減を加速させる。

 

http://www.anheuser-busch.com/newsroom/2017/09/anheuser-busch-and-enel-green-power-announce-renewable-energy-pa.html