中米のニカラグアがパリ協定に署名へ。協定への不参加国は、トランプ政権の米国と、内戦状態のシリアだけ。米国は「世界の温暖化孤児」に(RIEF)
2017-10-24 12:03:46
中米のニカラグアが23日、地球温暖化対策の国際合意のパリ協定に署名する方針を明らかにした。同国は2015年に協定が採択された際、協定に法的義務が盛り込まれていないことを理由に不参加を表明していた。今回、「協定は、気候変動と自然災害に立ち向かう世界で唯一の手段だ」(ロザリオ・ムリーロ副大統領)との声明を出した。この結果、協定不参加の国は、トランプ政権が離脱を宣言した米国と、内戦状態が続くシリアの2カ国だけになる。
(写真は、パリ協定で合意したCOP21の際に、反対を表明したニカラグアのオキスト首席交渉官)
ニカラグアは23日にムニーロ副大統領が公式の声明を公表、すでに国連の事務当局と実務的に手順を進めていることを明らかにした。ダニエル・オルテガ大統領も先週、「まもなく協定にサインするだろう」との発言をしていた。
ニカラグアがパリ協定に不参加の姿勢をとったのは、温暖化対策に反対の姿勢ではなく、むしろ、逆にパリ協定の拘束力が不十分なことへの不満からだった。同国は気候変動の影響によるハリケーン被害が増大しており、パリ協定よりもっと強力な規制の導入、先進国の責任の明確化を主張していた。
ニカラグアのパリ協定署名によって、内戦状態のシリアを別として、世界で協定を拒否している国は、米国一国となる。米国は、かつては世界中の政治・軍事抗争に介入し、「世界の警察官」と呼ばれたが、温暖化対策では「世界唯一の孤児」と呼ばれるかもしれない。