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積水化学工業 家庭や企業のゴミを分別せずに、丸ごと、エタノールに変換できる技術開発。世界初。自治体のごみ焼却場の全面転換を目指す(RIEF)

2017-12-07 18:10:25

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 積水化学工業は、家庭ゴミや産業廃棄物を丸ごと、エタノールに変換する生産技術を世界で初めて開発した、と発表した。ゴミ処理施設に集められたゴミを分別せずにガス化し、そのガスを微生物でエタノールに変換するという。日本で発生する可燃性ゴミは、プラスチック素材を生産するのに用いられる化石燃料資源より多く、同社では「化石資源に代わる再循環資源とし活用できる」としている。2019年度に実用プラントを稼動させるとしている。

 

 開発した技術は同社と、米国LanzaTech(イリノイ州:ランザテック社)による共同開発。通常、家庭や企業から出るゴミは、多様なものが含まれ、雑多・不均質という特徴がある。これらのゴミ、既存技術を活用して低酸素状態でガス化し、分子レベル(CO,H2)にまで分解する。この過程で、ゴミの特性を均質化する。ついで、ガスに含まれる約400種もの夾雑物質を特定・精製し、さらにリアルタイムでモニタリングしながらガス精製プロセスを駆動させる制御技術を用いて、微生物触媒を使ったエタノール変換を促進するという。

 

 これまではゴミ中に含まれる多様な成分の変動が、有効利用に不向きとされてきたが、モニタリング・制御技術と微生物触媒の最適組み合わせによって、隘路を突破、工業生産可能なエタノールさせることが可能になった、としている。「今回の技術は、まさにゴミを『都市油田』に替える技術といえ、化石資源に頼らない究極の資源循環社会システムの創生だ」(同社)と位置づけている。

 

 日本で排出される可燃性ごみは、年間約6000万㌧あり、そのエネルギー量はカロリー換算で約200兆kcalに達する。これは日本でプラスチック素材を生産するのに用いられる化石資源(年間約3000万㌧、約150兆kcal)に比べて十分に大きいが、これまではその一部しか再利用されず、大半は焼却・埋立処分されている。

 

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 同社はこれまで、埼玉県寄居町にあるオリックス資源循環株式会社の協力を得て、同社の敷地内にパイロットプラントを建設、2014年から3年間の開発実験を実施してきた。その結果、エタノールの品質はJAAS規格をクリアする99.5%の濃度を実現、年間数万kLの生産能力の確保、CO2排出量も、従来のゴミ焼却の場合と比べて135%削減できるなどの実用性と有効性を実証した。

 

 同社では2019年度の実用プラント稼動を踏まえ、全国に約1200ヶ所あるとされる自治体のゴミ焼却場などの更新需要に合わせて、同技術の普及を図っていくとしている。同時に海外市場への展開も期待される。

https://www.sekisui.co.jp/news/2017/1314802_29186.html