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東電、寒波襲来による電力ひっ迫対策。「ネガワット取引」による節電効果よりも、予備電源の火力発電の不具合による供給不足の影響大きく(RIEF)

2018-01-26 21:27:55

tepcoキャプチャ

 

 東京電力ホールディングスは今週、寒波襲来で管内の電力需給のひっ迫対策として、事前に契約した企業に節電してもらう「ネガワット取引」を実施した。その一方で、電力の不足時に使う予備の火力発電所2基が不具合で稼働できなくなっていたことがわかった。2基の発電容量は原発2基に相当する200万kW。電力需給のひっ迫要因は寒波に加え、火力発電の不備による供給不足要因も大きい。

 

 首都圏は26日も電力不足が続き、東電はネガワット取引だけでなく、他の電力会社から融通を受けたという。他電力からの融通は4日連続。不具合が起きたのは鹿島火力発電所6号機(茨城県)と広野火力発電所4号機(福島県)。いずれも石油を燃料とし、発電コストが高いため平時は使っていない。

   東電によると、寒波に備えて1月中旬に稼働準備に入ったが稼働せず、26日時点で、復旧の見通しは立っていないという。東電は原因を明らかにしていない。火力発電は「ベースロード電源」として、常時発電可能とされてきたが、機能しなければ意味がない。

東電の鹿島発電所
東電の鹿島発電所

 火力発電の不備について東電が明確に説明していないのに対して、東電がマスコミ向けにキャンペーンしたのが、ネガワット取引。経済産業省が2017年4月1日から、企業や家庭の節電を電力需要の山(ピーク)を抑制するために導入した。

 同制度では節電により生み出された電力には、発電した場合と同等の価値があるとみなし、企業や家庭の節電分に対して、報酬金を支払う仕組み。電力会社は大口の電力需要先である工場などと契約を結び、電力会社が必要と判断した際に、電力使用量を減らしてもらう(節電)。その分の謝礼を基本料金と、実際に節電した場合の謝礼の2段階で需要家に支払う。支払いは契約先の電気代を割り引く形とする。

 

 東電は管内の工場などとの契約で、50万kW近くのネガワット取引での「予備電力」を保有しているという。今回の電力ひっ迫状況で、22日に初めて企業に対して節電を求めた後、26日まで5日連続で発動した。

 

ネガワット取引のコンセプト
ネガワット取引のコンセプト

 

 ただ、ネガワットで最大の50万kWを節約できても、予備電源の200万kWの不稼働による電力不足のほうがはるかに影響は大きい。ネガワットでは埋めきれない電力不足を補うため、26日も隣接する東北電力などから、最大137万kWの融通を受けた。東電が2日以上連続で電力融通を受けるのは東日本大震災・福島第一原発事故で原発が止まった2011年以来、7年ぶり。

 

 しかし、他電力からの融通分を加えても、供給可能量に対する需要の割合を示す電力使用率は26日夕方には需給が「厳しい」と判断する95%の水準にまで上昇した。

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http://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2018/1474567_8687.html