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豪州サウスオーストラリア州 5万戸の家庭に太陽光パネルとテスラ製の家庭用蓄電設備整備へ。世界最大のバーチャル発電所(VPP)を整備へ(RIEF)

2018-02-05 17:57:29

teslapowarwallキャプチャ

 

 豪州のサウスオーストラリア州は4日、同州の公営住宅1100戸に、発電容量5kWの太陽光パネルと、テスラ製の蓄電池を無償で設置する、と発表した。将来的には、住宅5万戸以上に整備する計画。同州では、昨年12月にテスラが世界最大のリチウム蓄電設備を建設しており、テスラの協力で、一昨年に生じた大停電の原因となった電力供給不足を再エネインフラ整備で解消することを目指す。

 

写真は、テスラの家庭用蓄電池「パワーウォール2」)

 

 同州政府の発表によると、家庭に無償設置するのは、発電容量5kWの太陽光パネルと、テスラの家庭用蓄電池「パワーウォール2」(容量13.5kW時)。いずれも、設置費用は発電した電力の売電収入でまかなえることから、実質無料となる。当初の試験操業を踏まえて、対象を2万4000戸の公営住宅に拡大する計画だ。さらに、将来的には州内の全世帯に同様の条件で提供し、今後4年間で少なくとも5万世帯に整備できるようにするという。

 

 テスラは昨年12月に、同州の州都アデレード(Adelaide)から北へ230km離れたジェームズタウン(Jamestown)に、蓄電能力100MWという大規模なリチウム蓄電設備(パワーパック)を完成させている。今回の家庭配備の小規模電力をネットワーク化して集め、大規模蓄電施設で制御することで、世界最大の「バーチャル発電所(VPP)」が誕生することになる。http://rief-jp.org/ct4/75004

 

テスラの大規模蓄電設備の「パワーパック」
テスラの大規模蓄電設備の「パワーパック」

 

 同州のウェザリル州首相は「われわれが事実上行っているのは、サウスオーストラリアのエネルギー市場に発電所を一つ追加することだ。追加的な競争は電力価格を押し下げ、全ての人にメリットとなる」と強調した。

 

 同州は2016年に暴風雨による送電機能の不全で、州全体が停電するという事態に襲われた。同州の電力供給不足について、連邦政府のターンブル首相は、同州が急速に再生可能エネルギーを取り入れたことを原因だとして批判した。確かに、同州の太陽光と風力を合わせた発電比率は約40%を占め、オーストラリア本土の州では最も高い。

 

 ターンブル首相の批判は、石炭等の資源立国であるオーストラリアの自国資源の使用を重視した発言ともみられた。これに対して、ウェザル首相はあくまでも、再エネ優先の政策を貫き、電力供給不足を再エネ発電の強化と蓄電機能の強化でカバーする方針を推進している。

 

 このため、総額5億5000万㌦を投じて、電力システムを増強しており、昨年12月の大規模蓄電設備の導入に加えて、家庭用太陽光プラス蓄電設備の整備はそうした政策の一環と位置づけられている。発電量250MWの天然ガス発電所も建設中で、今年の夏に稼働の予定という。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00460603