米国最大の公的年金、カリフォルニア職員退職年金基金(CalPERS)は、投資のESG基本戦略であるガバナンス・サステナビリティ原則(GSP)に、投資先企業内で起きるセクハラ案件の開示を求める方針だ。財務情報基準は、企業価値にとって重要な(マテリアルな)情報開示を求めており、経営層等によるセクハラ問題は、企業経営のカジ取りへの疑念を高めるためだ。
カルパースは今月開いた投資委員会において、GSP原則で定める企業情報開示を改定して、セクハラ案件の開示を原則の一つとして新たに導入する方針を示したという。
委員会で提案された改定案によると、カルパースが定めるサステナブル投資のための5年間のESG投資計画や、2017-18年の投資戦略へのESGリスク統合を目的とするビジネス計画に盛り込む方向だ。組織内での異論がなければ、5月に開く理事会で、全ファンドにまたがる新原則として承認される見通しだ。
カルパースがセクハラを「企業の重要なリスク」と位置付けるのは、同機関の投資において、すでにセクハラ問題の影響が起きているためだ。最近発覚した事例では、3200億㌦を投資しているリゾート会社のWynn Resorts 社で、創設者のSteve Wynn氏が多くの女性に対してセクハラ行為を行っていたことがウォールストリートジャーナル紙によって報道された。このため、同社株は急落、カルパースも大きな投資損失を被っている。