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世界最大のソブリンファンド「ノルウェー政府年金基金(GPFG)」、石油・ガスの探査・生産業種を投資除外。石油価格下落と温暖化の両リスク軽減。国際石油開発帝石(INPEX)株など売却へ(RIEF)

2019-03-09 17:20:25

Norway12キャプチャ

 

  ノルウェー財務省は8日、世界最大のソブリンファンド「ノルウェー政府年金基金グローバル(Norway’s Government Pension Fund Global :GPFG)」の運用対象から、石油・ガス業の探査・生産を主業務とする企業株を除外すると発表した。石油・ガスの価格下落リスク、温暖化リスク等を理由としている。日本の国際石油開発帝石(INPEX)や出光興産なども対象となる。ただ、再エネや川下まで手掛ける総合型の米エクソンモービルや、英BPなどの石油メジャーは対象外の模様。

 

 (写真は、首都オスロにあるノルウェー財務省)

 

 ノルウェー中央銀行によると、2018年末時点で、GPFGが保有する今回の除外対象企業株の保有株総額は約660億クローネ(約8300億円)。このうち、日本の関連企業株は、国際石油開発帝石(INPEX)、出光興産、三菱石油、富士石油、K&Oエネジーグループ、東亜石油の6社とみられる。

 

 ノルウェーは産油国で、同国政府自身、同国沿岸nの大陸棚地域で石油・ガスの探査・生産ライセンスを所有している。ただ、これらの自国の事業は今回の除外規定の対象外。開発した石油・ガスの売却代金資金で運用する政府の「State’s Direct Financial Interest (SDFI)」のポートフォリオや、同国の石油メジャー「 Equinor」の株も、除外の対象外とする。

 

ノルウェーの石油開発
ノルウェーの石油開発

 

 GPFGの投資対象である石油・ガス業界をどう取り扱うかという問題は、2017年11月に同国中央銀行が財務省に対して、石油・ガス関連株の長期的な価格下落リスクを指摘、両業界を投資対象から除外する勧告を出したことが発端。政府内で専門委員会を設けて検討作業が続いていた。

 

 同委の結論は、中銀勧告とは対照的に、同業界株の保有を是認するものとなった。これらを受け、同国政府は調整の結果、最終的には業界全体を対象とはせず、よりリスクの高そうな探査・生産業の除外に絞ることとした。

 

 ノルウェー財務省やGPFGにとっては、自分たちが運用する富の源泉である石油・ガスを全面投資対象からはずすことは、自らの富の持続可能性を自己否定することにもなりかねないジレンマもあった。結果的に、対象を絞り込むとともに、自国関連の探査・生産事業は「除外から除外する」という妥協的な選択をとった。

 

norway15キャプチャ

 

 今回、投資対象外とする石油・ガスの探査・生産関連企業株は、GPFGが運用のベンチマークとしているFTSE Russellのインデックスに分類されている企業が対象となる。これらの業種をGPFGの投資対象から除外しても、同国のエネルギー政策には大きな影響はないとしている。

 

 除外対象となる探査・生産分野の投資企業株は、一気に売却するのではなく、市場動向をみながら時間をかけて入れ替えていく方針。エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、BP、シェブロンなどの総合型メジャーの多くが対象外となることで、短期的な影響は少ないかもしれない。

 

 ただ、探査・生産型企業にとっては、総合型に転換するため、合従連衡の引き金の一つになる可能性もある。その総合型転換の重要なカギは再エネ事業の取り込みだ。「今後10年間で、上場再エネ事業企業の大半は、現在までに再エネ事業を主業務としてこなかった企業で占められるだろう」(ノルウェー財務省)とみられており、再エネ加速につながる期待もある。

 

 GPFGは先ごろ、シンガポールやマレーシア等で、パーム椰子やゴム植林等の森林伐採に関連する主要企業4社についても投資対象から除外した。これ等の企業に投融資している地域の銀行との対話を強化したことも明らかにしている。http://rief-jp.org/ct6/87598

 

https://www.regjeringen.no/en/aktuelt/excludes-exploration-and-production-companies-from-the-government-pension-fund-global/id2631707/