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電事連系の温暖化対策団体「電気事業低炭素社会協議会」、温暖化対策の長期ビジョンを公表。原子力、火力、再エネそれぞれで革新的技術開発を提言(RIEF)

2019-10-08 14:56:52

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 大手電力や新電力各社等で組織する「電気事業低炭素社会協議会」は、地球温暖化対策に関する長期ビジョン として、「低炭素社会の実現に向けた我が国の電気事業者の貢献について」と題する報告を公表した。

 

 同協議会は、パリ協定後の2016年に、大手電力各社で構成する電気事業連合会が中心になり、各社の実行計画を支援するために設立された。同連合会が事務局を務め、代表理事は関西電力から出ている。

 

 報告によると、エネルギーインフラ事業である電気事業の根幹は、「S+3E」(安全の確保と、エネ ルギー安定供給、経済性、環境保全)の同時達成を果たす最適なエネルギーミックスにあるとする電事連の基本姿勢を踏まえている。そのうえで、CO2排出削減に向けた電気事業者のアプローチ として「電気の低炭素化」と「電化の促進」を両輪とする総合的な電力供給サービスの向上を掲げている。

 

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 こうした基本認識のうえで、「IPCC特別報告書」をもとに、「Above2℃」~「Below1.5℃」の6カテゴリーのシナリオ分析をした結果、いずれにおいても「電力のCO2排出原単位」の低減と「電化率」の向 上の双方が想定されていると指摘。

 

 そのための対策として、従来からの普遍的な取り組みに加えて、「革新的/イノベーション」の取り組みとして、「電気の低炭素化」「電化の促進」「共通」の3分野に分けて、革新的技術を例示している。

 

 柱となる「電気の低炭素化」では、原子力、再生可能エネルギー、火力の3部門をあげ、原子力では①小型モジュール炉②溶融塩炉③高温ガス炉④核融合炉、の4種類をあげている。

 

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 いずれも事故リスクが少なく、使用済核廃棄物等も減少する等とされる次世代原子力技術だが、実用化のメドは立っていない。ただ、「電気の低炭素化」分野の第一番目に、原子力部門を据えたことで、同協議会の原子力開発を最重視する姿勢が伺える。

 

 再エネ分野では、次世代太陽光発電として①ペロブスカイト太陽光発電②量子ドット太陽電池③宇宙太陽光発電④超臨界地熱発電を例示、蓄電部門では全固体リチウムイオン電池と、多様な革新型蓄電池をあげている。

 

  火力分野では、カーボン回収貯留技術のCCSと、同利用のCCU/カーボンリサイクルの2つをあげている。いずれも化石燃料火力発電を維持しながら、CO2排出量を削減する手法だ。

https://e-lcs.jp/news/detail/000183.html

https://e-lcs.jp/news/491f1dd39ba87548cd354bd31b5d7b969fff4853.pdf