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テス・エンジニアリング等3社共同で、竹を燃料とする木質バイオマス温水ボイラー開発。竹燃焼の最大課題の「クリンカ発生」を制御。全国の「放置竹林」をエネルギー化(RIEF)

2020-02-10 22:01:07

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 再エネや省エネを専門とするエンジニアリング会社の「テス・エンジニアリング(大阪市)は、再エネ関連の専門企業と共同で、竹を原料とする混焼木質バイオマス温水ボイラーを開発、販売を開始した。竹は各地で「竹害」が問題化しているが、燃料として利用する場合はクリンカの発生が課題だった。今回のボイラーはクリンカ対策をクリアしたことが特徴だ。

 

 テス・エンジニアリングと共同開発したのは、木質バイオマスボイラーの巴商会(東京)、回転式ガス化旋回燃焼方式技術を有するエム・アイ・エス(福岡市)の3社。開発したのは、国産の竹チップ混焼バイオマス温水ボイラ「E-NE(イーネ)シリーズ」(無圧式温水発生機)。

 

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 日本全国の里山等で、山の管理が十分に行われなくなったことで、竹が増殖放置され、周辺の生態系に悪影響を及ぼす「竹害」が問題化している。その竹を燃料にしようという試みはこれまでも何度も取り組まれているが、最大の課題は、竹は燃焼させると炉内に「クリンカ」という溶岩状の塊を生成する特性がある。塩素濃度も高いため耐火物や伝熱管を腐食させ、炉内を傷めてしまい、燃焼効率も低下してしまう。

 テス・エンジニアリング等は、独自の回転式ガス化旋回燃焼方式バーナーを採用することで、燃焼時のクリンカ生成を抑制する。また、仮にクリンカが発生しても自動排出機能によって速やかに除去する仕組みも取り入れることで、クリンカの炉内蓄積を防ぐ。この結果、竹チップの安定燃焼が可能になるという。

 さらに優れた燃焼コントロール技術によって温水の供給開始までにかかる時間を従来のものよりも短縮できる。燃焼方法は、負荷変動に対応できるHigh-Lowの2段階の設定ができる。ボイラーからの灰出しを全て自動化するほか、搭載した自動煙管清掃装置によって、常に煙管内をクリーンな状態に保って効率的な燃焼を維持できるとしている。

パッケージにボイラーを収めた
コンテナにボイラー等をパッケージとして収納

 使用する燃料は竹チップのほか、燃料の形状が粉状のものや固形のものにも対応が可能。木質チップ以外の未利用バイオマス燃料も利用できるという。ボイラーは燃料サイロ、スクリューコンベア、バーナー、ボイラー等をコンテナ型のパッケージにまとめて収めるパッケージ収納型のため、短期間での設置が可能。

 テス・エンジニアリングは「竹を燃料として利活用することによって、放置竹林に悩んでいる地域を中心にバイオマス熱利用を促し、エネルギー自給率の向上および再生可能エネルギーの普及を促進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していきたい」とコメントしている。

 竹のエネルギー化では熊本のバンブーエナジーが、竹を燃料としたORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備のバイオマスプラントを開発。2023年頃の事業化を目指している。また、徳島のGF(旧藤崎電機)も、竹を燃料として専焼するバイオマス発電所の建設に取り組んでいる。https://rief-jp.org/ct10/93436  https://rief-jp.org/ct4/73696

 https://www.tess-eng.co.jp/news/20200127.html