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安部首相、中東などへの原発輸出の推進表明 国内の事故収束混迷度深めるにもかかわらず(FGW) 

2013-05-01 18:05:43

キング・アブドルアジズ大で講演する安倍首相=1日、サウジアラビア・ジッダ(共同)
キング・アブドルアジズ大で講演する安倍首相=1日、サウジアラビア・ジッダ(共同)
キング・アブドルアジズ大で講演する安倍首相=1日、サウジアラビア・ジッダ(共同)


各紙の報道によると、安倍晋三首相は1日午前(日本時間同日夕)、サウジアラビアのキング・アブドルアジズ大で講演した。そのなかで安部首相は、日本から中東諸国向けの原発輸出を促進など、経済外交の推進を表明した。政治・安全保障面でも関係強化に乗り出す考えも示した。 

 安部内閣は、2年前の東日本大震災で収拾不能な状態に陥っている東京電力福島第一原発のリスクを軽減する「政治責任」を負っている。しかし、現状の福島原発では汚染処理水の漏出問題が大きな課題となっており、海洋投棄のリスクが高まっている。地元の自民党福島県連でも、前民主党政権が出した「事故収束宣言」の見直しを求めるほど、問題解決の方向感がつかめない状況下にある。

 

こうした国内での原発マネジメントの不備にもかかわらず、安部首相は「日本製原発」の中東地域への販売セールスを買って出たことになる。「日本の失敗」を棚上げして、原発販売を経済協力の柱としてアピールする姿勢は、アベノミクスに対する海外の懸念とも共通する「一か八か戦法」のようにも映る。

 

一方、中東地域で深刻なテロ対策では、日本人ビジネスマンが巻き込まれたアルジェリア人質事件を受け、中東・北アフリカ地域の安定化に取り組む考えを打ち出した。「今後、22億ドル(約2140億円)規模の支援を行う」などと強調した。

 

講演で首相は「中東との全く新しい関係、今までと異なる次元の結びつきをつくりたい」と訴え、「首脳同士、安全保障を担うハイレベルの当局者同士の間で不断の協働を図る」とした。しかしそうだとすれば、単に資金援助や原発押し売りではなく、文化、教育、人的交流などすそ野の広い長期的な関係構築を目指し、実践するべきだろう。