HOME5. 政策関連 |福岡市 下水道処理から製造した水素販売のステーション開業。下水バイオガスからの水素製造販売は世界初(各紙) |

福岡市 下水道処理から製造した水素販売のステーション開業。下水バイオガスからの水素製造販売は世界初(各紙)

2015-11-18 14:45:50

fukuokaキャプチャ

福岡市は市内中心部にある下水処理場で発生するバイオガスから作った水素を一般の燃料電池車に提供する水素ステーションを開業した。

 

 下水処理によるバイオガスでCO2(二酸化炭素)フリーの水素ステーションを開業するのは世界初の試みだ。市販の燃料電池車の場合、水素5kgで満タンになるという。今回オープンした水素ステーションでは一日65台分の水素を供給できる。

 

 福岡市は、地元の九州大学、三菱化工機、豊田通商と共同で、水素ステーション実用化事業に取り組んできた。対象となる市内の「中部水処理センター」(福岡市中央区荒津)では2015年3月末に、水素供給施設を稼動、その後、同市の公用車の燃料電池車に水素を供給し、実証性を確認してきた。

http://rief-jp.org/ct5/42740

その評価結果から、一般の燃料電池車にも水素を供給できる確信を得た。センターに併設する水素ステーションで、一般の燃料電池車に提供する。水素1kg当たり1100円の価格(協力金)で販売する。当面、2016年3月末までの試験供給とするが、その後4月からは商用の水素ステーションとして販売する計画だ。

 

 試験供給の期間中は利用車の走行データの提出を求める。走行距離、走行場所、乗車人数、エアコンの作動状況などのデータを集め、水素ステーションと燃料電池車の性能評価に役立てるためだ。

 

 福岡県内では北九州市に商用水素ステーションが一箇所あるだけで、今回の福岡市のステーション開設で、燃料電池車の利便性が高まる。また福岡市の場合、なによりも生活排水処理から生まれた環境負荷の少ない「グリーン水素」であるため、同市では「クリーンエネルギーの地産地消につながる」と期待をかけている。

 

 中部水処理センターは福岡市内で最大の下水処理能力をもち、1日2400㎥のバイオガスから3300㎥の水素を製造できる。この水素を圧縮した状態で燃料電池車に供給する。

 

 水素の製造工程は次のようになる。まず下水汚泥を発酵させてバイオガスを作る。このバイオガスの成分はメタン(CH4)が6割で、残り4割を二酸化炭素(CO2)が占める。膜分離装置を使ってこのCO2を除去し、高濃度のメタンガスを生成する。その後、水素製造装置で水蒸気(H2O)と反応させ水素(H2)を製造する。

 

 さらに水素の生成に伴って発生するCO2を吸着材で分離して、高純度の水素を精製する。元のバイオガスも生物由来のためにCO2フリーとみなせるが、水素の製造工程で発生するCO2も吸収して排出量を抑える。通常の化石燃料から水素を製造する方法と比べて、CO2排出量を極限まで減らすことができる。

 

fukuoka2_sj.jpg 下水から水素を作って燃料電池車に供給するまでの流れ

 

  福岡市内には合計7カ所の下水処理場がある。市の中心部にある中部水処理センターは1日に30万㎥にのぼる下水を処理することができる。バイオガスの発生量が多いことから、水素の製造のほかに発電にも利用する計画を進めている。

 

http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/51123/1/suiso.pdf