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2018年の風力発電新規導入量、前年比18%増の192MW。ただ、ピーク時の8割止まり。政府の2030年度目標達成はほぼ無理(RIEF)

2019-01-17 18:01:40

wind11キャプチャ

 

 一般社団法人日本風力発電協会(東京・港)によると、2018年の国内の新規導入量は192MWで、前年比と17年比では18%増えたが、直近のピークの15年(243MW)の約8割にとどまった。累計導入量は3584MWで、2030年度に掲げる政府の導入目標の10GW(1000万kW)の3分の1でしかなく、目標達成は困難とみられる。

 

 風力発電の導入量が伸び悩んでいるのは、改正環境影響評価(アセスメント)法で、風力発電がアセスの対象となり、その手続きに4~5年の時間と、費用を伴う影響が大きいとしている。さらに、事業後も発電した電力を家庭等に販売する際の送電線への接続問題なども課題となっている。昨年12月待つ時点で、アセスの手続き途上の案件は221件、合計容量18GW(1842万kW)に達しているという。

 

 アセスの適用は時間がかかるだけではない。グリーンパワーインベストメント(東京・港)が17年末に着工した発電事業では、建設場所が国定公園に近いため計画の変更を余儀なくされた。建設自体、当初の15年の着工予定から2年の遅れだった。

 

Wind12キャプチャ

 

 新規建設の障壁となっているのが送電線の容量不足だ。既存電力会社が再稼動ができない原発の使用枠を確保するなどの対応をしていることが大きい。また新規の再エネ事業者に対して高額な接続料を要求する問題がある。たとえば、年間を通じて強い風が吹く東北地方では風力発電の新設計画が相次ぐが、送電線を運営する東北電力が容量不足を理由に接続を断るケースがあるという。

 

 海に囲まれた日本では洋上風力発電への期待が高いが、アセス等の手続き中となっている案件の約3分の1は洋上風力関連である。洋上風力の場合、特に海域での漁業権との調整等がネックとなるが、政府は昨年、洋上風力の導入を促進する法律をようやく成立させたという段階だ。現在、洋上風力事業については、東北地方のほか、北九州や長崎五島などで実証実験が続いているが、商用運転はほとんどない。

 

 地域別にみると、累積の導入量が最も多いのが東北電力管内。990MWで、第二位の九州電力管内の514MWの倍近い。第三位は東京電力PG管内の448MWとなっている。都道府県別では青森県(418MW)が1位で、ついで北海道(398MW)、秋田県(371MW)の順。

 

政府は18年7月に決定した第5次エネルギー基本計画で、再生可能エネルギーを初めて「主力電源化」と明記した。現在16%程度の再エネ比率を30年度に22~24%に高める目標を掲げている。風力発電導入量については2030年度までに10GWを目指している。しかし、目標達成のためには、今後、18年の導入量を2.6倍上回る年間500MW規模のペースでの新規建設を続ける必要になる。

http://log.jwpa.jp/content/0000289646.html

http://jwpa.jp/pdf/dounyuujisseki2018graph.pdf