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トランプ政権肝入りで再編した米国際開発金融公社(DFC)、原発事業海外輸出へのファイナンス解禁。小型モジュール式やマイクロ原発等を途上国へ。ロシア、中国への対抗意識鮮明(RIEF)

2020-07-28 21:11:29

DFC001キャプチャ

 

  トランプ政権が昨年末に再編・設立した米国際開発金融公社(DFC)は、環境・社会分野の基準と手続きを変更し、途上国等の海外での原子力事業へのファイナンスを促進する。米国はこれまで、核拡散防止を重視し、一部の例外を除いて原発の海外輸出に力を入れてこなかった。しかしその間に、中国、ロシアによる途上国向けの市場戦略が進んでおり、今後は小型原子炉等を中心にして巻き返しを図る方針という。

 

 (写真は、ワシントンにあるDFCの本部ビル)

 

 DFCは昨年末、海外個人投資公社(OPIC)と開発信用機関(DCA)が合併して誕生した。OPICは民間資金を海外の開発事業に投じることを促進してきた。その環境・社会基準は、世界銀行等と同等の水準で環境社会的影響の保全、健康、安全性等に配慮する内容で、原発や核燃料等については投資や貿易の対象外としていた。

 

DFC003キャプチャ

 

 DFCは環境・社会基準については、OPICの方針を受け継いだが、このうち「原発ビジネスの縛り」を今回、改めた。さらに再生エネルギーの定義を米エネルギー情報機関(EIA)の基準に切り替え、途上国が必要とする再エネ、原発事業へのファイナンスを促進していくことを明確にした。

 

 DFCのCEO、アダム・ベーラー氏は「今回の改正は米国が世界中の友好国のエネルギー需要を支援していくための重要なステップだ。われわれは、価格も手ごろで、技術的に信頼性高く、かつ温室効果ガスを排出しない(原発関連技術)を推進する機会を開拓していきたい。そうすることが米国の高い安全性と核不拡散基準に準拠する技術開発にもつながる」と強調している。

 

 米国が原発輸出政策への転換を明確にしたのは、今年初めにエネルギー省(DOE)の「Nuclear Fuel Working Group(NFWG)」が「米国の競争力のある核エネルギー便益の回復」と題するレポートを公表したことが大きい。同レポートは、①米国は原子力分野で、ロシアや中国その他の国の積極的な動きによってグローバル競争力を喪失している②米国の原子力事業の競争力優位性の回復のための戦略が必要ーーと指摘した。

 

小型モジュール式原子炉の一種
小型モジュール式原子炉の一種

 

 こうしたトランプ政権の方針を受け、DFCは、核不拡散政策とのバランスをとった途上国向けに輸出対象とする原発としては、米国が技術開発で優位に立つ小型モジュール式原子炉や、さらに小型の1~10MW級のマイクロ原子炉等へのファイナンスを想定しているとしている。モジュラー式原子炉は工場で製造し、現場に持ち込んで組み立てることから、現場での建設が少ない分、封じ込め効率が高まり安全性も向上するとしている。

 

 DFCは「原子力エネルギー政策の変更は、ゼロエミッションで、信頼性が高く、安全な電力を、途上国に提供でき、途上国の経済発展とエネルギーアクセスの向上に資する」と意義を強調したうえで、「(ロシア、中国の)全体主義レジームに対する選択肢を途上国に提供するとともに、米国の核拡散のセーフガードを前進させ、米原子力産業の競争力をサポートする」と述べ、ロシア、中国への対抗意識を明確に示している。

 

 エネルギー庁長官のダン・ブルイエット氏は「これまで米政府と米企業が米国の優れた民間原子力技術を輸出することを阻んでいた規制を撤回したことで、世界のエネルギー安全確保を高め、輸入国に対して、信頼できるベースロード電源を供給できる。また、当該国の温室効果ガス排出削減目標の達成を支援できる」と説明している。

 

 温暖化対策には後ろ向きな姿勢を続けているトランプ政権だが、原発の“セールス解禁”となると、「温暖化対策への貢献」もアピール材料とする抜け目のなさも発揮している。

 

 米原子力エネルギー機関の代表、マリア・コルスニック(Maria Korsnick)氏も「今回の政策変更は、ロシアや中国のような国の国有企業が提供する原発に対して、より公平なベースで米原発を輸出することにつながるだろう。輸出額は数十億㌦規模に達するだろう」と述べている。

 

https://www.dfc.gov/media/press-releases/dfc-modernizes-nuclear-energy-policy