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オーストラリアのマッコーリー大学(MQU)キャンパスのグリーン化やLGBT等の多様性尊重のため初のサステナビリティボンド発行。約200億円相当(RIEF)

2018-09-03 08:53:56

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 オーストラリアのマッコーリー大学(MQU)が、キャンパス建物のグリーン・ビルディング化、世界120カ国から4万を超す学生の受け入れ、LGBTなどの多様性を尊重する社会性維持等のための資金調達として、2種類のサステナビリティボンド、合計2億5000万豪㌦(約200億円)を発行する。これらの資金使途は国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも連動する評価を得ている。大学がサステナビリティボンドを発行するのは珍しい。

 

 (写真はマッコーリー大学のキャンパス)

 

 MQUはニューサウスウェールズ州シドニーの郊外にある1964年設立の比較的新しい公立大学。だが、国際的な大学ランキングでも常に高い評価を得ていることで知られている。今回発行する2本のサステナビリティボンドは、10年物の2億豪㌦と、25年物の5000万豪㌦。ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)とHSBCが主幹事を務め、セカンド・オピニオンはSustainalyticsが付与した。

 

 10年物については、その一部として1億豪㌦分はすでに発行、オーストラリアの資産運用会社や保険会社が購入した。MQUは信用格付についてはMoody’sからAa2を取得している。

 

MQU1キャプチャ

 

 同行のSustainability Financing Frameworkによると、環境や社会的要因の絶えざる変化に直面する世界の現状を踏まえ、MQUは、自らが適応力があり、革新的で、他の大学よりも明確であるならば、学生、大学スタッフ、そしてキャンパスインフラのそれぞれのサステナビリティ追求を、適切に推進することができると位置付けている。

 

 つまり、大学がサステナビリティの人材育成、対策構築、情報発信等の拠点になるという決意だ。そうした視点に立って、Frameworkは、国際資本市場協会(ICMA)が管理するグリーンボンドの市場基準であるグリーンボンド原則(GBP)のほか、ソーシャルボンド原則(SBP)、サステナビリティボンド・ガイドライン (SBG)、さらにはGBPをモデルとしたグリーンローン原則(GLP)の4基準への適合を宣言している。

 

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 今回発行するサステナビリティボンドは、こうしたFrameworkに基づき、SBGへの適合を踏まえて発行する。資金使途は、キャンパス内での研究施設等のエネルギー効率化を高めるグリーンビルディング建設および改修事業のほか、研究施設等での汚染防止、持続可能な水資源の使用、廃棄物処理、自然資源や土地利用の持続可能な管理、学生や職員の社会経済的向上、多様性の維持等。

 

 セカンド・オピニオンを付与したSustainalyticsは資金使途の事業・活動については、国連の持続可能な開発計画(SDGs)の各目標の達成にも資するとして、適応する目標を例示している。

 

https://www.sustainalytics.com/wp-content/uploads/2018/08/Macquarie-University-Sustainability-Bond-SPO-08092018-FINAL.pdf