HOME8.温暖化・気候変動 |英国が電力市場改革法案を提出へ。再生可能エネルギー発電を優先 女王陛下が議会開会演説で表明へ(FGW) |

英国が電力市場改革法案を提出へ。再生可能エネルギー発電を優先 女王陛下が議会開会演説で表明へ(FGW)

2012-05-10 00:52:41

エリザベス女王は、1953年6月2日、ウェストミンスター寺院で戴冠された
エリザベス女王は、1953年6月2日、ウェストミンスター寺院で戴冠された


英国は現在の電力市場の改革法案の提出を、9日開会した議会の冒頭で行われる恒例の女王陛下のスピーチの中に盛り込んだ。英国はかつての国営電力会社を分割し、発電、送電、配電、小売りと分けているが、送電部門は独占で、発電も寡占体制となっており、キャメロン政権が進める大規模な再生可能エネルギー発電の投資促進に対応できていない。このため新たにエネルギー法を提出し、電力市場の自由化の加速と、電力の安定供給の両立を目指す。日本の電力市場改革論議にも影響を及ぼしそうだ。

 

女王陛下の恒例のスピーチの中に、政府による電力市場の改革方針をうたいこんだ。女王は「我が国政府は、安定的で、クリーンで、誰もが利用可能で、かつ価格の公平性を担保するために、」電力市場の改革を提案する」と述べた。政府が成立を目指すThe Energy Bill は、特に電力システム全体を低炭素世代化することを目指すことで、電力供給の安定化と効率化を向上させることが目的。

 

スピーチでは、「これは重要な法律である。電力の安定供給と、温室効果ガスの削減をより効率的に推進する改革につながり、それによって英国経済にとってプラスの効果をもたらすものである」「特に、投資家にとって、長期投資の安定性を生み出し、低炭素投資へのインセンティブを生み出すように設計されている」などと、同法案の重要性が強調された。法案は2013年中に成立をめざし、翌2014年には、同法に基づく最初の低炭素投資が政策的に支援されるだろうと、政府のエネルギー・環境省(DECC)は見通している。

女王陛下のスピーチは政権政党の方針についても説明するため、こうした形での公表となったが、現エリザベス女王は来月に在位60周年という節目を迎えられる。電力市場の改革もそうした大きな節目に立っていることを、女王陛下自らが言明した形にも読める。我が国では、発送電分離の議論が続いているが、その時代背景を踏まえた議論となっているかは、疑問だ。単なる形だけの自由化ではなく、再生可能エネルギー発電に社会のかじ取りを大きく切り替える節目としての英国の位置づけを、しっかり学ぶ必要があるだろう。

Electricity Market Reform: further information For further information on the Energy Bill, follow the links below.

Electricity Market Reform White Paper (2011) Technical Update to the EMR White Paper (2011)

http://www.decc.gov.uk/en/content/cms/news/queensspeech/queensspeech.aspx