HOME8.温暖化・気候変動 |2020年の「環境危機時計」、世界平均は「9時47分」。2018年に並ぶ過去最悪。日本の「時計」も急進展で、世界平均に並ぶ。旭硝子財団調査(RIEF) |

2020年の「環境危機時計」、世界平均は「9時47分」。2018年に並ぶ過去最悪。日本の「時計」も急進展で、世界平均に並ぶ。旭硝子財団調査(RIEF)

2020-09-08 17:20:45

asahi001145キャプチャ

 

 公益財団法人旭硝子財団は、2020年の「環境危機時計」が昨年より1分進んで、「9時47分」となり、過去最悪だった2018年と同じ最悪水準になった、と発表した。同時計は「人類存続に対する危機感」をアンケートで集計、時計の針で示すもの。9時から12時は「きわめて不安」の領域だ。日本の環境時計は昨年より一気に7分進み、世界平均とほぼ同じになった。

 

 (は、「環境危機時計」の進捗状況)

 

 同財団は1992年から、毎年、世界の環境有識者を対象に環境アンケート調査を実施、その結果をとりまとめている。今年は世界205カ国に調査票を送付、137カ国1813 名から回答を得た。深刻さを0時1分から12時までで表現し、9時を過ぎると「極めて不安」な状態を示す。

 

「危機意識」が高止まりしている
「危機意識」が高止まりしている

 

 地域別に危機意識が最も高いのは、北米(10時33分)とオセアニア(10時20分)。最も低いのはアフリカ(8時34分)。その差は約2時間ある。世代別では、「60代以上」が危機意識が最も高い。危機を認識するうえで、もっとも念頭に置く項目は、2011年以来「気候変動」が最も多い状況は変わっていない。ただ、「脱炭素社会」への転換が「進んでいる」との回答も増えている。

 

 日本の「危機意識」は、世界平均が2008年以降、時刻が進んだ中で、日本ではそれほどの意識の高まりはなく、2011年には一時、9時間台を割るケースもあった。しかし、2018年以降、急ピッチで世界平均に近づき、今年は9時46分と、世界平均より1分少ないだけの水準に達している。

 

地域別の「危機時刻」
地域別の「危機時刻」

 

 環境危機時刻を決定する際に最も多く選ばれた「地球環境の変化を示す項目」は、昨年と同じく「気候変動」が最多数を占めた。次いで「生物圏保全性(生物多様性)」、「社会、経済と環境、政策、施策」、「水資源」、「人口」、「生物化学フロー(環境汚染)」、「ライフスタイル」、「陸域系の変化(土地利用)」、「食糧」の順。

 

 脱炭素社会への転換については、どちらかといえば進んでいるが、「政策・法制度」や「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の面は「一般の人々の意識」ほどには、進んでいないという結果となった。「政策の遅れ」に人々は気づいているようだ。

 

 改善の兆しがある項目として、多く選ばれたのは、「気候変動」(28%)で、次に、「ライフスタイル」(14%)、「社会、経済と環境、政策、施策」(14%)。「全く改善の兆しはない」という回答も16%あった。2019 年と比較すると、「一般の人々の意識」、「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」は改善の方向にシフトしたが、「政策・法制度」は改善されていない方向にシフトした。

 

 「気候変動」について改善されている方向を選択した割合は、「一般の人々の意識」では米国、西欧(英を除く)が高く、「政策・法制度」ついては中国が高い。「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」についての地域差は少なかった。

https://www.af-info.or.jp/ed_clock/assets/pdf/result/release2020.pdf