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三菱重工業、豪州・南オーストラリア州でのグリーン水素・アンモニア事業開発に参画。地元産業の脱炭素化に貢献、将来は日本などへの輸出も目指す(RIEF)

2020-11-26 17:18:38

H2U001キャプチャ

 

 三菱重工業は、オーストラリアで再生可能エネルギー電力から水素を製造する「グリーン水素」事業に参画する。同国の南オーストラリア州で同事業を展開する事業会社に出資、2022年末にはグリーン水素と同水素を活用したアンモニア製造事業を展開する。将来は開発した「グリーン水素」を日本に輸入することも目指すとしている。

 

 三菱重工が出資するのは、同事業を展開する「Hydrogen Utility(H2U)」社のホールディング会社「H2U Investments」。出資額は明らかにしていない。三菱重工は対象となる事業の設計仕様検討の段階から参画し、水素ガスタービンや水素コンプレッサなどの主要機器供給も視野に入れているという。

 

 H2Uは南オーストラリア州南西部のエアー半島で、洋上風力や太陽光などの再エネ事業によって発電した電力を、水電解によって水素を製造するプラントと、生成した水素を活用したアンモニア製造のプラント等を建設する事業を展開する。水素ガスタービンの実証事業等も計画している。2022年末には、グリーン水素・アンモニア生産開始を見込む。

 

 アジア等では、天然ガスや石炭火力発電事業から水素を製造する事業取り組みもみられる。しかし、化石燃料からの水素製造では、火力発電時にCO2排出が生じる。これに対して、H2Uの事業は、電力製造時も再エネ事業なのでCO2フリー電力となるため、製造した水素は「グリーン水素」、そこから作る輸送可能なアンモニアは「グリーンアンモニア」となり、環境価値が高く評価される。

 

 南オーストラリア州は風力、太陽光の資源に恵まれており、再エネ・エネルギーミックスが可能。豊富な再エネ電力を活用して、同州のエネルギーソリューションを高め、鉱業、農業分野などの脱炭素化を促進できる。さらに、将来は同地で製造したグリーン水素・アンモニアを、日本などの他地域へ輸出する足掛かりをつくりたいとしている。そうなると、日本企業の産業の脱炭素化への貢献も期待できる。

 

 H2Uのグリーン水素・同アンモニア事業には、オーストラリアの連邦政府、南オーストラリア州政府および他の州政府も、新たな「エネルギー資源」として大きな期待を寄せている。三菱重工は、2018年10月にもニューサウスウェールズ州政府との間で、西シドニー地域の総合開発計画でのエネルギーマネジメントのソリューション提案についてMOU(了解覚書)に調印している。

 

 2015年のパリ協定の「1.5℃目標」「2℃目標」の達成に向けて、グローバルに脱炭素化の動きが加速している。だが、化石燃料を引き続き利用しようという「ブラウン事業」も少なくない。その中で、新たなエネルギー源としての「水素」「アンモニア」を、製造・燃焼の過程からCO2フリーとする「グリーン水素」「グリーンアンモニア」の活用は、次世代のクリーンエネルギーとして注目されている。