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ビルの省エネ改修補助 来年度から、国が費用の3分の1(各紙)

2012-07-15 07:34:50

greenbuilding無題
 各紙の報道によると、環境省は既存のオフィスビルを省エネルギー対応に切り替えるため、改修費用の一部を補助する新制度を2013年度につくる。複数の中小ビルが協力して対策に取り組むよう促し、ビル1棟あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を20%減らしたい考えだ。森林を整備してCO2吸収量を増やすため、国産材製品の購入者にエコポイントを発行する新制度もつくる。


 8月末にまとめる13年度概算要求に盛り込む。2つの新制度の導入に必要な予算規模は百数十億円となる見通し。東日本大震災を受け原子力発電所の新増設が難しくなるなか、業務部門の排出削減と森林による吸収増という2つの面から地球温暖化対策を強化する。




 オフィスビルでは改修費の3分の1を国が補助するしくみだ。複数の中小ビルのオーナーや不動産業者などが基金をつくり、国庫補助の受け皿とする。基金は金融機関からも融資を受けて改修費用を調達し、ビルの空調機器やサーバーを省エネ設備に更新するほか、照明などを自動制御するBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)を取り入れる。




 中小の既存ビルは省エネ設備を備えていないところが多い。1棟単体だと古い設備を更新したいと思っても投資回収年数が長く、オーナーの負担が大きい。




 複数のビルをまとめて改修すれば、1棟あたりの負担を抑えられるほか、焦げ付くリスクが小さくなるので金融機関からも融資を受けやすくなる。省エネ設備を備えたビルは資産価値が落ちにくくなるので、オーナー側にも利点があると環境省はみている。




 10年度の日本のCO2排出量は11億9200万トン。ビルなど「業務部門」は2億1700万トンで約2割を占め、京都議定書の基準年である1990年比で3割増えた。同期間に12%減らした工場などの「産業部門」より対策が遅れている。環境省は今回の新制度をまず東京都や大阪府などの大都市でモデル事業として実施し、その後で全国に広げる計画だ。




 一方、国産材製品のエコポイント制度は、家電エコポイントの木材版。家具やヒノキ風呂、工芸品などの購入者にポイントを与える方式だ。ポイントは発光ダイオード(LED)電球や再生紙を使ったノートなど、環境配慮型の商品と交換できる。




 国産材をきちんと使うことは温暖化防止につながる。森林を間伐して整備しないと荒れ果てて、十分に光合成ができず、CO2の吸収量が減ってしまう。ポイント制度で消費者に国産材製品の購入を促し、売り上げを森林整備に充てれば、樹木がきちんと育ちCO2を吸収しやすくなる。




 日本の木材自給率は11年で26.6%。最近10年間で約10ポイント上昇したものの、価格が安い輸入品より劣勢だ。日本の森林の資源量は毎年8千万立方メートル増える一方、用材需要量は約7千万立方メートルにとどまっている。




 政府は08~12年度の温暖化ガス排出量を90年比6%減らす目標を掲げる。6%のうち、森林による吸収分は3.8%。企業や家庭の自助努力分(0.6%)、海外から排出枠購入分(1.6%)よりも割合は大きい。