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ドイツの脱原発決定は、アフリカ・サハラ砂漠での太陽光発電計画を推進する(Bloomberg)

2011-06-19 23:04:48

 ドイツのメルケル政権は、日本での東京電力福島原子力発電所の事故を受け、今後10年間で国内の原発を全廃することを承認したが、その決定がサハラ砂漠での太陽光発電利用事業(総額400億ユーロ:5780億ドル)を促進することになりそうだと、Desertec Industrial Initiativeの代表が指摘している。

 そう語るのは 開発事業者の Dii Gmbhのchief executiveであるPaul van Son氏。最近のエジプトやチュニジア、リビアなどで連続して起きている「アラブの春」という内戦や革命が Desertec 計画に及ぼす影響は、欧州のエネルギー需要に比べると、それほど大きな問題ではないという。計画では集光太陽熱発電(CSP)や、他のクリーンな風力発電をエジプトからモロッコの砂漠に展開し、欧州にその電力を2050年までに15%供給する計画。まだ設備の導入・設置は行われていない。

Paul van Son氏は、「特にドイツでは、原発議論の中で、Desertecへの関心が高まっている」という。北アフリカの地域に詳しいエネルギーアナリストのSamuel Ciszuk 氏は, 同事業の株主であるミュンヘン再保険、ドイツ銀行、クレディトスパ、アベンゴア・ソーラー、シーメンスなどは、同地の政治的事情にも関わらず、この事業の継続に取り組んでいくと、述べている。

同事業では、さらに地中海沿岸の国々に電力を供給する計画で、今後40年以上にわたって各国の送電網を拡大して、事業を展開していくことになるという。国内に主要なエネルギー源を持たないモロッコやチュニジアは特に、こうした再生可能エネルギーの投資に熱意を示していると、Ciszuk氏は指摘する。

 Dii*は、チュニジアでの他の事業についてのフィージビリティ・スタディにも取り組んでいる。またアルジェリア当局とも話し合っている。Diiはこれらのプロジェクト全体に対し、2050年までに400億ユーロを必要とする事業への各国政府の支援を求めている。

van Son氏は、欧州各国は2020年までに再生可能エネルギーの供給を拡大する必要があることから、各国政府からDesertec 事業への資金支援は行われると、自信満々で語っている。それは、アフリカ地域からの輸入電力を含めたクリーン電力を対象とした固定価格買い取り制度(FIT)をもっと拡大することになるだろう。

Dii : Desertec 財団と参加企業12社が設立した会社