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温暖化加速で 大規模なハリケーンの発生数が7倍に増加(National Geographic)

2013-03-25 23:30:38

ハリケーン「カトリーナ」の通過後、生存者を探す救助隊員(アメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズ)。
ハリケーン「カトリーナ」の通過後、生存者を探す救助隊員(アメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズ)。
ハリケーン「カトリーナ」の通過後、生存者を探す救助隊員(アメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズ)。
最新の研究によれば、地球温暖化の進行とともに、大西洋で発生するハリケーン勢力の大幅増加が予想されるという。北京師範大学を拠点とする国際的な研究グループが、ハリケーンの発生条件をモデル化したデータから、地球の温度が摂氏1度上昇するごとに、超大型ハリケーンの発生数が大西洋で2~7倍になるという結論を導き出した。 場所によって、サイクロン、台風とも呼ばれるハリケーンの強さは、発生地点の水温と直接関係している。海水が蒸発して空気中の水蒸気が増えれば、勢力を強めて陸地へと向かう。 2005年8月末に発生、最も強いハリケーンの分類であるカテゴリー5の勢力を24時間にわたって維持したカトリーナは、壊滅的な嵐の基準として取り上げられるケースが多い。アメリカに上陸してフロリダ半島を通過するといったん弱まったが、ニューオーリンズを直撃する直前、破壊的な強さになった。最終的に2000人近くが命を失い、損害は800億ドル(約7兆6000億円)に上った。 今回の研究では、カトリーナに匹敵する嵐が徐々に増えると予想している。20世紀は温暖化によって大型の嵐が倍増、21世紀以降も気温上昇は続いており、最悪の嵐が700%増える可能性もあるという。毎年、カテゴリー5のハリケーンが何度も発生し、大西洋沿岸を脅かす恐れがある。 コペンハーゲン大学ニールス・ボーア研究所氷河・気候センター(Niels Bohr Institute’s Centre for Ice and Climate)の研究者、アスラク・グリンステッド(Aslak Grinsted)氏は、「ハリケーンの規模は、局所的な海面温度の変化に関連している。われわれの研究結果はこの説を裏付けるものだ」と話す。海面温度の小さな上昇が与える影響の大きさは、グリンステッド氏らの予想を超えていた。 地球の気温は確実に上昇しており、気象観測の記録によると、この10年間は最も暖かかった。1万1300年前の最終氷河期までさかのぼっても、この100年のように平均気温が急激に上昇した時期はないという研究結果も今月発表されている。主な要因は、二酸化炭素、メタンといった温室効果ガスの排出量の増加であるというのが科学者たちの一致した見解だ。 気温上昇が大規模な嵐の増加につながるという今回の研究結果は、過去のハリケーンによっても裏付けられている。アメリカ国立大気研究センター(NCAR)によれば、この数十年、嵐の頻度は増えていないようだが、勢力の強い嵐の割合は急増しているという。総合的な観測データが記録されるそれ以前も、同様の傾向がうかがえる。 今回の研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に3月18日付けで掲載されている。   http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130325003