OECD 石炭火力発電所の輸出規制で合意。「超々臨界」など例外。国内の石炭火力計画ラッシュにも影響(各紙)
2015-11-18 18:45:38
今回の規制は1年の猶予を置いて実施される予定。また合意によると、融資制限は4年後に再び厳格化される見通しという。
今回の合意をめぐっては、アメリカが地球温暖化を防ぐため、政府系金融機関による融資など公的支援をやめるよう主張してきた。これに対し、日本は、発電効率が高い日本の技術は排出量が少ないなどと主張し、対立してきた。
調整の結果、公的支援の規制において、「超々臨界圧」、低所得国向けの「超臨界圧」技術の石炭火力例外とすることで合意し、先進国から途上国への石炭火力輸出を原則として規制することで合意した。今月末にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて、先進国クラブであるOECDの決意を表す形となった。
米輸出入銀行や世界銀行、欧州投資銀行(EIB)などの国際公的金融機関はすでに石炭プロジェクトの支援を圧縮しており、米欧では民間金融機関や年金などでも石炭関連プロジェクトへの資金を引き揚げるDivestmentの動きが広がっている。
今回、OECD加盟各国が合意したことで、これまで石炭火力輸出に積極的だった日本や韓国なども、初めて公的支援を制限することになり、石炭業界はマイナス材料が増大する。
日本は得意とする超々臨界技術の例外化は認められたものの、途上国向けの石炭火力発電輸出を成長戦略の柱の一つにも掲げており、インフラ輸出戦略の修正を迫られることになりそうだ。同時に、来年4月の電力小売全面自由化に向けて電力市場に参入する新電力各社の石炭火力発電計画の見直し機運を後押ししそうだ。
米オバマ政権は、国内で石炭火力発電所のCO2排出量を3割カットする規制(クリーンパワー計画)を推進しており、国内だけでなく途上国市場への石炭火力輸出規制にも、こぎ着けたことで、温暖化政策の成果を一つ積み上げた格好となった。COP21での米国のリーダーシップがさらに強まる可能性が出てきた。