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EUの次期欧州委員長候補のフォンデアライエン氏、気候変動対策で積極姿勢をアピール。EUの現行の2030年CO2削減目標の10%引き上げ、カーボン国境税導入案などに言及(RIEF)

2019-07-11 12:57:57

Vondearaianキャプチャ

 

  EUの次期欧州委員長候補に指名された独国防相のウルスラ・フォンデアライエン氏は、欧州を世界最初の「クライメート・ニュートラル大陸(CO2排出量ネットゼロ大陸)」とすると強調、現在のCO2排出削減目標の2030年40%削減を50%に引き上げる考えを示した。目標達成のため、航空機と海運分野に汚染者負担を求めるとともに、カーボン国境税の導入にも言及した。

 

 フォンデアライエン氏は、現在、欧州議会の支持取り付けを目指している。最大会派の「欧州人民党」(EPP)、社会民主進歩同盟(S&D)、自由主義会派、3会派の支持は取り付けたが、議会で多数決の承認を得るには、緑の党の支持も必要。今回の温暖化対策での「積極姿勢」の表明は緑の党へのアピールとみられる。

 

 同氏の発言は、フランスのマクロン大統領が所属する自由主義会派との会合で示された。同氏は「時計の針は動いている」と述べ、「クライメート・ニュートラル」を掲げた。

 

 現在の2030年のCO2削減目標を10%引き上げて50%とする考えを示し、「われわれはもっと野心的になれる。現状の事実とデータを踏まえれば、2030年50%削減はできると確信している」と強調した。

 

フォンデアライエン氏㊨
フォンデアライエン氏㊨

 

 さらに、EUが現在、域内で合意を目指している「2050年CO2排出ゼロ」の目標設定についても支持する考えを示したという。

 

 同氏が言及した「カーボン国境税」は、温暖化対策をEUに比べて十分にとっていない国からの輸入品に対して、EU企業が負担するカーボン削減費用に相当する関税を課す考えとみられる。同氏は「EUとしてこの問題を議論しなければならない。簡単な作業ではないが、われわれが取り組まねばならない課題だ」としている。

 

 またEUが導入している排出権取引制度(EU-ETS)の効果を評価したうえで、現在は、制度の対象になっていない航空機、海運を取り込む考えも示した。特に航空機は利用増加が進む一方で、CO2排出量の大きさが国際的にも課題となっている。

 

 CO2排出規制を強化することで化石燃料に代わるクリーンエネルギー開発の必要が高まる。その中で、原発については「クリーンだが危険だ」と明言。メルケル独政権が原発廃止を目指して進めている政策に沿った考えを明らかにした。

 

 CO2削減目標の引き上げが確実に担保されるよう、独立機関の「科学者評議会(仮称)」のような第三者機関を設定、各加盟国の排出削減の進捗状況のモニタリングと報告をする仕組みの導入の考えも示した。EUの投資銀行である欧州投資銀行(EIB)のインフラ投資をもっとグリーン化し、「欧州気候銀行(ECB)」に改革するとも述べた。

 

 フォンデアライエン氏の「気候変動対策への野心」は、委員長承認を得るための政治的リップサービスが含まれている可能性がある。退任が決まっている現欧州委員長のジーン・クラウド・ユンケル氏は、「EUは、掲げる目標を高めるよりも、むしろ現在合意している目標の達成に集中すべきだ」とクギを刺す発言をしている。

 

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