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日本銀行、気候変動リスクの金融システムへの影響とグリーン投資促進を目指す中央銀行・金融当局の組織「NGFS」に参加。49番目(RIEF)

2019-11-28 16:57:19

NGFS1キャプチャ

 

 日本銀行は28日、気候変動リスクを制御し、グリーン投資の促進を目指す中央銀行と金融監督当局で構成する「The Network for Greening the Financial System (NGFS)」に参加したと発表した。日本からはすでに金融庁が参加しており、参加機関としては49番目となる。

 

 NGFSは2017年12月にパリで開いた「One Planet Simmit」の際に、英イングランド銀行やフランス銀行など、金融監督と、金融安定を担う各国8機関が中心になって設立された。公的な機関ではなく、気候変動が金融システムに及ぼす影響等について各国当局が自由に意見を交換する任意の場として位置づけられている。

 

 しかし、実質的には、気候変動による金融機関、金融システムに及ぼす影響等について政策との関連性を議論しており、作業部会も①金融監督・ミクロプルーデンシャル部会(WS1)②マクロファイナンシャル部会(WS2)③グリーンファイナンスのスケールアップ部会(WS3)、の3部会を設けて、議論を進めている。http://rief-jp.org/ct4/79855

 

NGFSの議論の模様
NGFSの議論の模様

 

 当初は欧州系の中央銀行や金融監督当局が中心だったが、現在は、アジアからも中国、インドネシア、マレーシア、タイ、香港、シンガポール等の中央銀行・当局が参加しているほか、米国からはニューヨーク州金融サービス局(DFS)も加わり、現在、メンバーは48機関(他に国際決済銀行等がオブザーバー参加)。

 

 ただ、米連邦準備理事会(FRB)はトランプ政権のパリ協定からの離脱等、温暖化対策に距離を置く姿勢を受けて、慎重な姿勢を続けてきた。しかし、今月初め、FRB理事のラエル・ブレイナード氏(Lael Brainard)は、「FRBとしてもNGFSへの参加を内部で議論している」ことを明かした。http://rief-jp.org/ct4/95984?ctid=71

 

 日本からは金融庁が参加しているが、日銀はこれまでFRB同様、慎重な姿勢に終始してきた。中心になっている欧州系の中央銀行等が、銀行の準備金等の運用にグリーンボンドを加えたり、金融政策でのグリーン資産担保の評価を検討するなどの積極的な対応をとっているが、日銀はこれまで、そうした動きに巻き込まれることを避けるため慎重だったようにみえる。

 

 しかしアジアの主要な中央銀行・当局がほとんど参画し、さらにFRB等も内部での検討を公表するように動きが広がっていることから、このままでは「取り残される」との思いから、今回の参加決断に至ったようだ。日銀は記者発表文で「NGFSへの参加を通じて、気候変動リスクに対する理解を高め、国際的な議論へ参画していく」とコメントしている。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel191128a.htm/