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三井住友信託銀行、脱炭素化やデジタル化を促進するインフラファンド立ち上げ。まず、300億円規模。2030年度までに5000億円規模に拡大。日本政投銀、住友生命等も出資(RIEF)

2023-09-05 12:43:40

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 三井住友信託銀行は5日、日本政策投資銀行等と連携して、国内で脱炭素化やデジタル化を促進するインフラ事業に投資するインフラファンドを立ち上げると発表した。まず、投資額300億円の1号ファンドを設立し、2030年度までに5000億円規模に拡大する計画だ。ファンドは、国内の幅広いインフラ事業等を投資対象とする総合型インフラファンドとし、データセンターや公共施設など国内のインフラに投資対象を絞って展開するとしている。金融機関主導で国内でインフラ特化のファンドを立ち上げるのは初めてとしている。

 

 第1号ファンドへの出資は両行のほか、住友生命保険、千葉銀行、第四北越銀行も参加する。ファンドは、今後約1年間で国内の機関投資家等に募集を呼び掛け、総額約300億円を集めるとしている。第2号ファンドは第1号ファンドの4倍の1200億円規模に拡大し、2025年度に立ち上げる予定としている。同ファンドにも年金基金等の機関投資家からの投資を想定している。2030年度までに設立を想定する第3号ファンドには、海外投資家や個人投資家等に投資家層を広げるとしている。

 

 ファンドの投資先については、1号ファンドの300億円の場合、50%は再生可能エネルギーを扱う企業のほか、太陽光関連事業向けに投資し、残りの30%を水道・ガス、空港、アリーナなどの社会インフラに、20%をクラウド化の進展で急速に需要が増えているデータセンターやスマホの普及で増大する通信基地局などのデジタル関連施設等のインフラ事業に振り向けるとしている。

 

 社会インフラ等に投資するインフラファンドは、グローバルベースでは、公共インフラの民営化等が広がっていることもあり、22年時点で1兆㌦(約146兆円)を超えるなど、主要な投資市場となっている。これに対して、インフラの民営化等で出遅れている国内市場では、目立った投資対象となるインフラが少なく、再エネ事業等に限られている。その結果、インフラファンド自体も十分に展開していない。

 

 一方で、わが国のインフラは、国や自治体の財政難が主要な要因となって、老朽化の進展、デジタル化等改革の遅れ等が目立っている。投資家側も、投資対象資産としてのインフラに投資する機会を失ったままとなっている。今回の三井住友信託銀行等の取り組みは、こうしたわが国のインフラ投資の需給ギャップを解消することで、年金基金や個人等の投資家にとって新たな投資対象を提供するとともに、インフラ事業者に新規の民間マネーを提供することで、インフラ市場の改善・拡大につなげることを目指すとしている。

 

 ファンドのGP(無限責任組合員)には、三井住友信託とマーキュリアホールディングスが今年2月に共同で設立したインフラ専門の投資助言会社のジャパン・エクステンシブ・インフラストラクチャーが就き、投資助言を担当する。

 

 三井住友信託銀行は、「今後も、継続的なインフラファンドへの取組を通じて幅広い投資家とともに投資規模・投資領域を拡大していくことで、国内インフラ領域への資金循環を促すことで日本経済の持続的成長の実現を目指していく」とコメントしている。

https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/230905.pdf