HOME |東京ガス、浮体式洋上風力の「ウインドフロート技術」開発の米スタートアップ企業に2200万㌦(約23億7000万円)出資。国内、アジアでの洋上風力発電市場参入目指す(RIEF) |

東京ガス、浮体式洋上風力の「ウインドフロート技術」開発の米スタートアップ企業に2200万㌦(約23億7000万円)出資。国内、アジアでの洋上風力発電市場参入目指す(RIEF)

2020-05-28 15:06:00

PP02キャプチャ

 東京ガスは、浮体式洋上風力発電向けの浮体基礎システムであるウインドフロート技術を開発・保有する米スタートアップ企業のプリンシプル・パワー(PP)社に2200万㌦(約23億7000万円)を出資した、と発表した。東ガスは今年度からの中期経営計画で再エネ事業の強化を打ち出しており、その中でも洋上風力発電事業の展開を視野に入れている。今回のプリンシプル・パワー社への参画で技術基盤を強化する。

  PPの出資企業にはすでに、エネルギー関連企業のEDP Group、 Repsol、 Aker Solutions、ASM Industries等が名を連ねている。東ガスはこれらに伍しての主要株主になるという。PPはすでに欧州のポルトガル、スコットランド、フランス等での事業展開に参画しており、建設中の案件はインド、ハワイ等、合計100MWを超える。今回の東ガスとの連携で日本市場への参入拡大を目指している。

組み立ては陸上で行う
組み立ては陸上で行う

 日本は四方を海に囲まれているが、遠浅の海岸が少ないことから、風力発電のポテンシャルは浮体式洋上風力発電とみられている。その際、風車を海上に浮かべる浮体基礎システムであるウインドフロート技術が重要になる。

 PP社が開発・保有する同技術は、洋上での安定性に優れており、ポルトガル沖等で開発のほか、解体修理の対応も実施してきた。同社のシステムは、3つの円筒形の基盤をトライアングルの形で連結する仕組みで、円筒の部分の構造は中空なので、そこに注入する水量の調節で、波や風の量に対応できる。

 東ガスは、再エネ事業の中でも洋上風力に力を入れる方針で、茨城県鹿島沖の促進区域での開発事業への取り組みを目指している。グループ経営ビジョン「Compass 2030」で、2030年における国内および海外での再生可能エネルギー電源取扱量500万kWを掲げている。

PP05キャプチャ

 また2020~22年の中期経営計画では、3年間で1400億円を内外での再エネ事業に投じることを宣言している。再エネ発電の取扱量は、22年度には現状の3.4倍の200万kWに拡大する計画だ。再エネの中でも洋上風力に力を入れる方針で、茨城県鹿島沖の促進区域での開発事業への取り組みを目指している。https://rief-jp.org/ct10/100583

 東ガスの内田高史社長は「Compass2030で掲げたCO2ネット・ゼロの具現化に向け、国内外での再生可能エネルギー電源の獲得を進めている。特に欧米やアジアでの導入が期待されている浮体式洋上風力発電において、技術力と実績を有するプリンシプル・パワー社は、東ガスにとって最適なパートナーであり、本出資を皮切りに国内外での浮体式洋上風力開発を推進していく」と語っている。

 PP社のCEOのJoão Metelo氏は「今回の東京ガスからの出資は、両社のそれぞれの強みを強化するもので、さらに日本の洋上風力発電市場の開発に、われわれのウィンドフロート技術を活用して、共同で取り組んでいく。東ガスの出資は日本だけでなく、アジア市場での事業拡大につながる。新型コロナウイルス感染拡大がビジネス環境に影を与える中で、東ガスとのパートナーシップを強化できたことは、クリーンエネルギー経済のレジリエンスを示すものだ」 としている。

 

http://www.principlepowerinc.com/en/news-press/press-archive/2020/05/27/principle-power-successfully-concludes-equity-fundraising-round-with-an-over-us-22-million-investment-from-tokyo-gas-and-strengthens-its-position-in-the-japanese-market

https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20200527-01.html