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フィンランドなどが核廃棄物の地下保管所建設(Reuters)

2012-06-15 06:58:40

仏放射性廃棄物管理機構の廃棄物用容器(2012年6月11日、仏ビュール)
【ユーラヨキ(フィンランド)/ビュール(フランス)13日ロイター時事】フィンランドの小島で原子力発電所から出される使用済み核燃料の地下保管所建設が始まっている。フランスやスウェーデンでも地下深いところでの保管計画が進められている。使用済み燃料は現在はほとんどが地表で保管されており、数百メートル地下に作られる永久的保管所は世界でも初めてだ。

仏放射性廃棄物管理機構の廃棄物用容器(2012年6月11日、仏ビュール)




 フィンランドでは既に工事が始まった。ここには100年分の使用済み燃料を少なくとも10万年間保管することになる。人間にとって安全で、火事や洪水、その他のリスクの影響を受けないように設計されている。

 使用済み燃料については過去30年にわたり、いくつかの保管方法が検討されてきた。太陽に向けてロケットで送り込んだり、北極圏に埋めたり、あるいは海底に保管したりする案があった。米国のエネルギー環境研究所(IEER)のマキジャニ所長は「適切に選択され、うまく設計された地下保管所は最も悪くない考え方だ」とし、「これに比べて別の方法はひどく悪い」と述べた。

 また英国地質研究所の放射性廃棄物の専門家リチャード・ショー氏は「深い地下での保管は安全に貯蔵する点で前向きの方法だ」との見解を示した。

 しかし、これが極めて長期間保管されることを考えれば、想定さえ困難なリスクというものがある。

 国際原子力機関(IAEA)は、2010年には世界の使用済み核燃料の合計は約34万5000トンとなり、10年前に比べて50%増えたと推定している。IAEAは「放射性物質は何千年にもわたって危険な存在であり続けるため、この期間についてメンテナンス-組織的な管理-が必要になる」としている。

 この1000年間だけを振り返ってみても、ローマ帝国の崩壊、中世欧州の暗黒時代、ペストの流行、さまざまな革命と独裁、そして第2次世界大戦という多くの出来事があり、核廃棄物を管理する組織は将来もこうした大きな出来事を乗り越えていかなければならない。

 フィンランドの環境保護団体は、ヘルシンキから230キロメートル離れた、同国南西部で建設されている地下保管所が今後何世紀にもわたってどこまで安全でいられるか分からない、としている。これらの団体は、気候の変動や地震で使用済み燃料が漏れ出して、地上を汚染する恐れもあると不安を隠さない。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012061400402