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漂流がれき:北米苦慮 太平洋岸4州が予算対策(毎日)

2012-07-07 05:02:25

大きな津波漂流物が確認された主な場所
大きな津波漂流物が確認された主な場所


【ロサンゼルス堀山明子】東日本大震災の津波で海に流出したがれきが北米大陸に漂着している問題で、米国とカナダの太平洋沿岸6州のうち2州が対策費を緊急に支出、2州が予算化を準備していることが毎日新聞の取材で分かった。漂流がれきは今秋以降、大量に同沿岸部に漂着するとみられ、膨大ながれき処理や生態系への影響が懸念される。一部州は実態調査に乗り出し、日米両政府は連携して対処する検討を始めた。

 日本政府によると津波による漂流がれきは約150万トンに上る。米加両国の太平洋沿岸州では4月以降、震災で流出した大型の漂流物が相次いで漂着。4月6日には米アラスカ沖でイカ釣り漁船を米沿岸警備隊が撃沈。6月5日には米オレゴン州に青森県・三沢漁港の浮桟橋(長さ約20メートル)が流れ着いた。

 毎日新聞は6月下旬、米国5州(アラスカ、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ハワイ)とカナダのブリティッシュコロンビア州に津波漂流物の対策費支出、今後の予算措置や対応をアンケートと電話で取材した。

ワシントン州は6月15日のボート漂着を機に緊急予算60万ドル(約4800万円)を組み、実態調査などに約2万ドルを支出。オレゴン州は対策費に前年比5万ドル増の13万5000ドルを計上。桟橋処理に約9万ドルを使った。

 また、アラスカ州は8月に実態調査費として20万ドルを予算化。まだ大きな漂流物が確認されていないカリフォルニア州も「最低でも必要な海岸清掃費」として10月からの13会計年度予算で3万ドルの計上を見込んでいる。

 漂流物処理に関する国際法の規定はなく、漂着地の行政府が負担するのが国際的な慣例。10月から年明けに押し寄せる漂流がれきは4万トン規模と予想され、6州は3月、共同情報センターを設置。記念品などは引き続き返却する方針だが、ほとんどは廃棄せざるを得ないとみられ、独自の対応は困難とみて連邦政府に協力を求めている。米海洋大気局は今会計年度61万8000ドルを対策費にあて、漂流がれきの移動予測などを実施している。しかし、実態調査は州任せで、処理費が全体でどの程度になるかは見通せていない。