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2022年の米国の再エネ発電量、初めて石炭火力発電を上回る。21年には原発を抜いており、2年連続のランクアップ。天然ガスに次ぐ第2位の電源に。連邦・州の支援効果(RIEF)

2023-03-28 16:04:21

USEIA004キャプチャ

 

 2022年の米国の発電量に占める再生可能エネルギーの割合が、初めて石炭火力発電を上回った。燃料別では天然ガスに次ぐ2番目の電源となった。再エネの割合は前年の21年に原子力発電を上回っており、2年連続のランクアップだ。再エネの電源別では風力が最も多く、次いで水力、太陽光の順。州別では風力発電はテキサス州が最も多く、太陽光発電はカリフォルニア州が最大となっている。バイデン政権は昨年成立したインフレ抑制法(IRA)で再エネ投資促進を掲げており、再エネ電源の割合はさらに高まりそうだ。

 

 米国エネルギー情報局(EIA)が27日に発表した。2022年の米国全体での発電総量は4億900万MWh。このうち天然ガス火力発電が39%で、前年(21年)の37%から2㌽シェアを高めた。これに対して、石炭火力発電のシェアは前年の23%から20%に3㌽に縮小した。多くの石炭火力発電が老朽化で閉鎖されたほか、その他の石炭火力も採算の悪化等で使用中止のところが増えたという。

 

 原発のシェアは19%で前年の20%から1㌽減少した。ミシガン州のPalisades原発が老朽化のため昨年5月に閉鎖されたことが大きい。同原発は1971年の稼働で800 MWの発電能力を持っていた。再エネ発電量が原発を、さらに石炭火力を、それぞれ上回ったのはいずれも初めてのことだ。

 

 再エネ発電では風力と太陽光を合わせて全体の14%のシェアで、前年の12%から2ポイントアップした。発電事業用の太陽光発電の発電量は前年の61GWから71GWに、風力発電の発電量は133GWから141GWにそれぞれ増大した。

 

電源の州ごとの発電量ランキング
電源の州ごとの発電量ランキング

 

 多くの州で再エネ電力の調達義務を定めているほか、連邦政府も免税措置等の支援策で再エネ導入を推進する政策の後押しが普及を広めている。日本政府は固定価格買取制度(FIT)を実施しているが、米国のように免税措置や調達義務といった総合的な後押し策が不在で、再エネ普及の勢いは、依然、乏しい。

 

 水力発電は6%で変わらず。バイオマス発電と地熱発電の割合はいずれも1%以下で変わらず。米政府が、風力、太陽光に政策支援を集中していることがわかる。公表された太陽光発電の発電量は発電事業からの発電分で、住宅や工場等の屋根等に設置された自家発電等は含んでいない。

 

 州別では、風力発電は圧倒的にテキサス州が多い。同州は太陽光発電でも全米第二位の発電量を抱えている。同時に、天然ガス、石炭でも第一位のエネルギー大国だ。化石燃料のガス・石炭から再エネまで取り揃えているが、電源の伸び率では再エネにシフトしている。太陽光発電ではカリフォルニア州がトップとなっている。

https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=55960