HOME10.電力・エネルギー |四国電力。「亜臨界圧」の西条石炭火力1号機を「超々臨界圧」に切り替え。「CO2排出量13%削減」と強調。設備容量は3倍強なので実質排出量は2.6倍増。先進国で石炭火力新設は日本だけ(RIEF) |

四国電力。「亜臨界圧」の西条石炭火力1号機を「超々臨界圧」に切り替え。「CO2排出量13%削減」と強調。設備容量は3倍強なので実質排出量は2.6倍増。先進国で石炭火力新設は日本だけ(RIEF)

2023-07-01 00:48:40

sikoku キャプチャ

 

 四国電力は30日、超々臨界圧石炭火力発電(USC)の西条発電所新1号機(愛媛県西条市)の営業運転を始めたと発表した。経済産業省が推進するグリーントランスフォーメーション(GX)戦略の一環との位置づけで、亜臨界圧発電(SUB-C)だった旧1号機をリプレースした。発電効率は旧式より5ポイント改善し43%以上になるという。同社は年間のCO2排出量は13%削減できるとしているが、発電所の規模が3.2倍となるので、実際の排出量は2倍以上に増大する。先進国で新規の石炭火力発電を新設する事例は稀だ。

 

 (写真は、操業を開始した四国電力の西条発電所新1号機=愛媛新聞より)

 

 同社の発表では、新西条1号機は、発電容量は旧型(15.6万W)の3.2倍となる50万kW。年間の発電量は30億kW時を見込む。短時間で出力を調整できる設備を導入し、発電効率は旧型の38%から5ポイント改善した43%以上になるという。このため同社は、「CO2排出量を13%削減する」としている。

 

 ただ、これは単位当たりの排出量であり、西条新1号機の排出量は旧型に比べて3倍以上に増えるので、実際の同発電所からのCO2排出量は2.6倍以上に増えることになる。これがGX政策の実態といえる。

 

 西条1号機は、1965年11月に操業を開始し、2022年3月末に廃止されるまで57年間操業した。発電燃料は当初は石油だったが、石油危機の影響を受けて、燃料を石炭に切り替えて石炭火力として操業。2005年から木質バイオマスを一部混焼していた。化石燃料火力発電の典型的な事例だ。

 

 新1号機の燃料は、従来からの石炭燃料のほか、重量比で1%程度の木質バイオマス(年間1000㌧)を使う。さらに、2025年秋からは下水汚泥を乾燥させた固形燃料もCO2削減策のために活用する方針としている。ただ、燃料の大半が石炭である点に変わりはない。

 

 西条発電所には、同型の2号機もある。経産省のGX戦略では、西条発電所のような低効率の石炭火力発電所については、休廃止する方針を示しているが、1号機と同程度の2号機については、四国電力は「休廃止の予定はない」としているという。

https://www.yonden.co.jp/press/2023/__icsFiles/afieldfile/2023/06/30/pr011.pdf