HOME10.電力・エネルギー |公正取引委員会が3月に摘発した電力4社のカルテル事件。中国電力、中部電力は課徴金支払いを不服として提訴。関電、九電は「リーニエンシー」で課徴金免除・減額と明暗分ける(RIEF) |

公正取引委員会が3月に摘発した電力4社のカルテル事件。中国電力、中部電力は課徴金支払いを不服として提訴。関電、九電は「リーニエンシー」で課徴金免除・減額と明暗分ける(RIEF)

2023-09-29 01:10:27

f5607dd4d004ecf1e5a8f2ccb4616db03-e1680198194756

 

 中国電力は29日、事業者向けの電力供給をめぐって、関西電力、中部電力、九州電力等と電力事業者向けの電力供給をめぐり、互いに顧客獲得を制限する独占禁止法違反のカルテル(不当な取引制限)を結んでいたとして、公正取引委員会から707億円の課徴金納付命令と排除措置命令が受けたことの取り消しを求める訴訟を提起したと発表した。公取委の措置に対しては、中部電力も25日に提訴を表明している。

 

 電力会社間のカルテルの「中心的役割」を果たしていたとみられる関西電力は、公取の調査前に違反を自主申告したことから、課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて行政処分を免れた。九州電力も調査開始後に違反とされた内容を申告し、調査に協力したとして課徴金額を30%減額された。このため九電は訴訟に加わらないとみられる。https://rief-jp.org/ct5/134063?ctid=

 

 公取委によると、摘発された各社は、2018年10月~2020年10月にかけて、オフィスビル・大規模工場等の大口顧客向けの「特別高圧」と、中小ビル・工場向けの「高圧」の電力供給をめぐり、お互いに、従来供給してきたエリア以外で顧客を奪い合わないよう営業活動を制限することに合意していた。https://rief-jp.org/ct10/113124?ctid=

 

 中国電は、電力販売に関する情報交換などの取り決めを関西電力と結んでいたことについては「極めて不適切な行為で、独占禁止法への抵触を疑われるのもやむを得ない」とする一方で、「公取委が独占禁止法違反であると認定した各命令は承服しがたい」として、29日、東京地裁に取り消しを求めて提訴した。同社は4月28日の取締役会で、公取委の命令に対する取消訴訟を提起することを決めている。https://rief-jp.org/ct10/134996?ctid=

 

 一方の中部電力は、独占禁止法に基づく課徴金納付を、同社に対して201億8000万円、子会社の中部電力ミライズには73億7000万円として納付命令を受けている。両社は公取委から命令を受けた3月30日時点で、「事実認定と法解釈について見解の相違がある」として、取消訴訟を提起すると発表していた。今月25日付で東京地裁に提訴した。中国電力と同じ提訴日にしなかったのは「提訴でもカルテル」と見なされることを避けたのかもしれない。

 

 中国電力も中部電力も、課徴金の納付期限が10月31日設定されていることから、現時点での訴訟提起に踏み切ったとみられる。報道によると、中国電力の担当者は、実際にカルテルがあったとされる時期に関西地方での中国電の販売電力量は数倍になったほか、中国電の試算では中国地方での関電の販売電力量も1年程度は増加傾向にあったとしており、公取委の判断との違いを指摘。裁判で主張していく考えを示したとしている。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC282AO0Y3A920C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA

 

 また課徴金の算定に際して、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)が含まれている点についての取り消しも求めている。再エネ賦課金は顧客企業・消費者の毎月の電気料金に上乗せされる。ただ電力会社は集めた同賦課金をそのまま国に納める仕組みのため、実質的には各社の売り上げにはならない。しかし中部電力の場合で、課徴金に占める再エネ賦課金額は113億円となっており、この分の減額も求めるとしている。

 

https://www.energia.co.jp/press/2023/14959.html

https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1212346_3273.html