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日本学術会議、原発ごみ「数百年の暫定保管」 最終処分策先送り(各紙)

2012-09-12 11:56:57

被曝警告の標識、2007年に国際原子力機関(IAEA)と ISOにより追加された。
各紙の報道によると、原子力発電所から出る使用済み核燃料の問題で日本学術会議は11日、「原発のごみ」に総量規制を設けた上で最終的な処分法をどうするかの決定を先送りし、数十~数百年間、暫定保管する案を公表した。現在は最終処分場が確保できず解決の糸口すら見えない「原発のごみ」問題で、現実的な選択肢を示した。

被曝警告の標識、2007年に国際原子力機関(IAEA)と ISOにより追加された。





 学術会議は内閣府原子力委員会に報告書を提出した。大西隆会長は「根本にさかのぼった議論が必要だ」と語り、地中深くに埋めて永久廃棄するという政府の処分政策の白紙撤回を要請。近藤駿介原子力委員長は「よく勉強する」と応じた。




 使用済み核燃料を再利用しながら原発を動かすと、最終的には数万年単位で放射線を発し続ける「高レベル放射性廃棄物」が発生する。政府はこの廃棄物をガラスで固め、トンネルを掘り地下数百メートルに永久に封じ込める計画を掲げてきた。




 しかし最終処分場の計画は、この10年あまり候補地もなく白紙のまま。一方で原発で発生する使用済み核燃料はたまり続けている。「原発のごみ」の行き場がなくなって今後の再稼働にも影響がでかねない状況のなか、苦肉の策として浮上したのが暫定保管だ。




 学術会議は「社会的合意が欠如したまま最終処分地選定への合意を求めている」とし、これまでの政府のやり方を批判。数十~数百年にわたる「モラトリアム期間」を設け、いつでも取り出せるよう暫定的に地上や地下に保管する案を示した。その間に高レベル放射性廃棄物の放射能を抑えたり、廃棄物を封じ込めたりする技術開発を期待し、最終的な選択は将来世代に委ねるという。




 学術会議は暫定保管中に放射性廃棄物がたまり続けるのを防ぐため廃棄物の総量規制も提案した。導入されれば将来の原発稼働に制限が加えられることになる。




 一連の提言は政府のエネルギー・環境会議や原子力委員会で議論する。採用されれば原子力政策大綱に盛り込まれ、国の原子力政策に反映される。暫定保管でも処分地の選定などの課題は残る。

 


 

学術会議の提言内容:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf