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世界は原発縮小に向かっている: 原発の発電割合、2050年に世界で半減も IAEA予測 (各紙)

2012-09-19 17:25:44

世界で広がる脱原発の声


 

世界で広がる脱原発の声


各紙の報道によると、国際原子力機関(IAEA)は18日までに、2050年時点の世界の総発電量に占める原子力発電の割合が11年の半分以下の5.0%まで低下する可能性があるとの予測をまとめた。昨年秋の予測では最低でも6.2%としていたが、福島第1原発の事故によって欧州などで「脱原発」の動きが広がったことを受け、1.2ポイント下方修正した。




 IAEAによると、11年の世界の総発電量は2万442テラ(テラは1兆)ワット時で、うち原発は12.3%の2518テラワット時。予測は各国からの聞き取り調査を基に最低と最高の2つのシナリオを作成した。30年代に原発稼働ゼロを目指す日本政府の方針についても「最低シナリオにおおむね反映させている」(ログナー計画・経済調査部長)という。




 最低シナリオの場合、原発の発電量は50年に11年の1.5倍に増えるが、人口増や経済成長で、火力や水力なども含む総発電量が3.7倍に急増するため、シェアは低下する。現在稼働中の原発が老朽化して廃炉を迎えることもシェアを押し下げる。




 最高シナリオの場合でも、11年より0.1ポイント低い12.2%と予測した。昨秋の予測より1.3ポイント下方修正した。原発の発電量は3.6倍に増えるものの、全体の伸びには追い付かず、割合は若干低下する格好だ。




 IAEAは「最低シナリオの場合、ガスなど火力発電の割合が大幅に高まり、温暖化ガスの排出量が急増しかねない」と警告する。




 50年の予測を地域別に見ると、西欧でのシェア低下が目立つ。11年は全地域で最も高い25.7%だが、最低で7.5%、最高でも21.1%に落ちる。脱原発を宣言したドイツやスイスで原発停止が相次ぐためだ。「原発大国」のフランスも、オランド政権は「縮原発」の公約を掲げている。




 一方、極東地域では中国や韓国が新設に動くため、最低でも11年より0.8ポイント高い7.7%、最高では10ポイント高い16.9%に上昇する。インドを含む中東・南アジア地域も上昇が顕著だ。




 北米は今後の見通しに不確実性が高く、最低なら9.7ポイント低い9.1%、最高なら4.3ポイント高い23.1%と予測した。




 IAEAは「増加のペースは福島の事故によって鈍るものの、世界的に見れば原発の発電量は今後も増え続けるため、安全性を高めることが不可欠」としている。