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日本でも注目のシェールオイル 採算と環境に課題(各紙) 確かに、掘れたからといって使えるかどうかは別モノ

2012-10-04 07:27:16

鮎川油ガス田で行われているシェールオイルの試験採取(河北新報から)
鮎川油ガス田で行われているシェールオイルの試験採取(河北新報から)


日本でも、技術進歩と原油相場の高止まりで、日本産のシェールオイルの商業化が視野に入ってきた。資源の乏しい我が国だけに、期待感が膨らむ。一方で、本格的な生産ができるかどうかは、コスト削減を含めた採算性のほかに、環境対策を十分確保できるかが課題だ。

  米国では、2000年代から、シェールオイルと同じ地層にある天然ガス「シェールガス」の開発が進んでいる。「シェールガス革命」と呼ばれて、エネルギー市場を激変させている。同ガスの開発技術は、シェールオイルにも応用できる。1970年をピークに減少し続けていた米国の石油生産量は2009年から増加に転じている。シェールオイルの生産が、石油全体の供給量を押し上げているためである。

だが、シェールオイルは、ガスよりも、採掘が難しい。ガスは気体なので取り出しやすいが、オイルは液体なので課題がある。 米国でも、実際の埋蔵分から採掘できる割合は数%とされている。シェールガスの場合は2~3割と高い。この比率をいかに引き上げるかが商業化のカギとされている。

 環境対策も大きなハードルだ。米国ではシェールガスの開発は原野に限らず、住宅地でも起きている。地域住民から「突然、台所の水道の蛇口から炎が出た」との訴えもあるという。またガスを抽出するために地下に注入する薬剤が環境に影響するとの批判もある、このため、州当局などが規制を検討している。さらに、水圧で破砕する新技術による環境への影響も懸念されている。我が国でもこれらの課題に手を打てるかどうかが試される。