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全原発の再稼働審査「3年では困難」 田中原子力規制委委員長(各紙) 安倍政権の「政治再稼働」に待った!

2013-01-10 11:09:56

tanakanuke
tanakanuke原子力規制委員会の田中俊一委員長は9日の会見で、安倍政権が「3年以内に結論を出すよう」と督促している原子力発電所の再稼働について、「36カ月(3年)で50基を審査すると、1基当たり20日となる。常識的にはそうしたことは難しい」と語った。政治的な再稼働要請に対して、専門家の視点で、「常識」を示した形。特に、原子力施設が集中立地している青森県下北半島については、各施設の敷地内に限定せず、地域全体を評価する広範囲の断層調査が必要、との認識も示した。

原発の再稼働問題では、前民主党政権が2030年に脱原発の方針を示したが、衆院選挙で圧勝した自民党は民主党の方針を全面見直ししている。その中で安倍政権は、「3年以内に全原発の安全性の可否を判断」し、問題がないとみなした原発については順次、再稼働する姿勢を示している。いわば、「政治的再稼働」宣言といえる。これに対して、東電の福島第一原発事故の被害を受けた福島県などでは、強い反発が出ているほか、全国の原発団体なども、安全性を無視した見切り発車だと、批判している。

こうした背景を受けて会見した田中委員長は、再稼働を判断する審査期間について、「3、4日で『はい、OK』とはいかない。どんなに早くても1基に最低、半年や1年はかかる」と指摘した。さらに、電力各社が実施する安全対策の整備にも一定の時間がかかる。これらのことを総合的に踏まえて、「(電力)事業者から3年以内に、50基の原発について次々に(再稼働の)申請が出てくると思えない」と指摘した。

特に、使用済み核燃料再処理工や中間貯蔵施設などが集中する下北半島周辺の海底断層については、複数の専門家が、活断層の可能性を指摘しており、田中委員長は「(同地域全体については)何もしないわけにはいかないんじゃないか」と問題点について認識していることを示した。すでに規制委のメンバーで地震学を専門にする島崎邦彦委員長代理に、同地域での調査方法の検討を指示していることも認めた。

同地域で 今年10月に完成予定の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)と中間貯蔵施設(むつ市)については、「(12月までに策定する安全に関する)新基準に適合しなければ稼働は認められない」と述べた。規制委は発電用原子炉以外の再処理工場などの新基準の検討を始めていない。このため、基準ができ、基準に照らした調査が終わらないと、実際の両施設の稼働は大幅に遅れる可能性が出てきた。