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安部政権 アメ(減税)や太鼓(宣伝)で、原発被災地への人、企業、の回帰促す。「正常化」へ“誘導” 新規立地企業にも税制優遇(FGW)

2013-02-15 11:40:36

放射能汚染より低コストを呼び掛ける工場団地
放射能汚染より低コストを呼び掛ける工場団地
放射能汚染より低コストを呼び掛ける工場団地


政府が東京電力福島第一原発事故の避難区域の「正常化」推進にハタを振っている。避難した既存企業の帰還を促すだけでなく、避難区域の再編後に新規に進出する福島県内外の企業に対しても、税制優遇措置を適用するという。

新規企業にも税制優遇の枠を広げることで雇用創出を拡大、避難住民の早期帰還を促すのが狙いと説明される。すでに福島県内の工業団地等では、こうした政府の大盤振る舞いによるコストダウン効果を歓迎して、新規立地を目指す企業も増えているという。

だが、放射能汚染の浄化が進まず、政府データへの不信が続く中で、故郷に戻りたいという住民の思いを国民の税金を使って強引に誘致することが、恒久的な福島の復興につながるとは思えない。放射能汚染のデメリットと、「低コスト」のメリットを天秤にかけ、結局、デメリットだけを住民負担として利益をあげようとする企業が中心になって進出してくるのでは、とみることもできる。。

しかし、政府は同時に、既存企業への支援策の拡大もするという。現行の支援措置の範囲は、旧緊急時避難準備区域を含めて「全ての避難指示が解除された区域」内の企業が対象となっているが、新たに避難指示解除準備、居住制限の両区域まで広げ、避難指示の解除を待たなくても対象となるよう改める。
 政府はこの企業回帰促進の方針を、福島県庁で14日に開いた「原子力災害からの福島復興再生協議会」幹事会で、福島県関係者に方針を示した。今国会に制度改正に必要な福島復興再生特措法の改正案を提出する。
 現在、避難指示解除区域に戻る既存企業に対する支援策は①被災者を雇用した事業者が支払う給与の20%相当を法人税の課税から控除する②不動産取得税、固定資産税を課税免除にする③設備投資に対する特別償却を認める―など。新規企業に対しても基本的に同様の優遇措置が受けられるようにする方針。

 確かに、放射能汚染が低減され、正常な企業活動や社会生活が日常的に得られる環境になれば、あるいはそうした環境への改善を促進するためにも、企業活動の回帰、住民の帰還が可能になることが望ましい。だが、現状は放射能汚染の影響が生活空間でも、食環境においても、十分に安全が確立されたとの理解が得られていない。

 放射能の汚染は目に見えず、人間の五感では感じることができないため、政府等の正確なデータによって汚染の程度を図る以外にないが、その公式データへの信頼性が欠けたままである中で、税金を軽減したり、設備償却を有利にするなどの「目先」の措置では健全な企業はやってこない。