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福島第1原発事故の和解交渉 「居丈高の東電」 さすがに文科省が改善要請(各紙)

2013-03-06 07:47:21

居丈高な東電の総本山
居丈高な東電の総本山
居丈高な東電の総本山


各紙の報道によると、文部科学省は5日、福島第1原発事故を引き起こした東京電力が、事故の被害者との和解交渉において、居丈高な姿勢をとり、「不誠実な対応が後を絶たない」として、東電に対して異例の文書での改善を求めた。事故責任を一切とらず、巨額の税金の投入によって経営を支えられているにもかかわらず、被害者に不誠実な姿勢をとり続ける企業は、これまで例がない。今からでも遅くないから、法的整理し、責任をしっかりとらせてから対応させるべきだ。

文科省が東電に要請した文書は、「被害者の迅速な救済という損害賠償の原点に立ち、誠意ある対応の徹底を改めて要請する」という内容。これも、本来は要請ではなく、指示、命令にすべきもので、国の姿勢の甘さを反映しているともいえる。官僚たちは、どれだけ東電に「借り」があるのだろうか。

文科省によると、和解を仲介する政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」が12年中に受理した電話での問い合わせ1万2364件のうち、33%は東電の対応への不満や要望だった。特に、「文科省の審査会が賠償基準を示した中間指針に具体例の記載のない損害については、東電は一切、賠償に応じてくれない」といった苦情が多いという。

また、住民が同センターに仲介を申し立てると、そ例外の、特に内容的に争いがないはずの交渉についても、東電側は交渉を拒否する事例が複数あったという。東電が一方的な加害者にもかかわらず、通常の示談交渉と同じ目線で対応しているといえる。センターはそのつど東電に是正を求めているという。

同センターには3月4日現在で計5659件の仲介申し立てがある。このうち和解成立は31%だけ。審理に平均約8カ月間かかり、継続案件は55%の3088件に上っている。その他は交渉打ち切りや取り下げなど。センターは「人員拡充などで平均4〜5カ月の審理を目指したい」としているが、本来、東電が自らの責任をしっかり認識して、親身になって被害者に対応すれば、センターでの仲介自体が必要なくなるはず。「居丈高の東電」を存命させておく意味がどれだけあるのか。