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三井住友建設が 除染作業で発生する草木を100分の1に減容し、セシウムが飛散しにくい技術を開発(環境ビジネス)

2013-03-14 13:22:25

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jyosen20130313_d1三井住友建設は、大沼林産工業(福島県伊達市)、三富工業(静岡県富士市)と共同で、除染作業において発生する草木類を効果的に安定・減容化する「放射能汚染草木類の安定・減容化システム」の公開実証試験を実施した。同実験により、処分が必要な汚染草木類等を99%以上減容化し、放射性セシウムが溶出、飛散しにくい安定化した粒状の灰とすることに成功し、仮置きに必要なスペースを大幅に削減する技術として確立した。

同システムは「輻射熱分解装置」とストリーマ放電による「排ガス処理装置」から構成されている。

粒状灰の取出状況
粒状灰の取出状況


「輻射熱分解装置」は、草木類を放射性セシウムが溶出しにくく安定した残留固形物(粒状灰)に熱分解して、1/100以下に減容化する。

また「排ガス処理装置」は、分解装置から発生するガスを水蒸気、二酸化炭素を主とする無害、無臭な排気に改質して外部放出を可能する。

今回の実証試験に使用した装置は1立方メートルタイプのもので、3~5立方メートル/日の処理能力があるが、実用化に向けて、処理能力が約30~45立方メートル/日の中型装置の開発を計画している。

今後、同システムの積極的な展開を通じ、悪臭、飛散の発生や火災の危険性を排除することにより除染作業の促進と被災地の復旧を支援していく。

また、同技術は、放射性物質が付着した草木類を伐採処理する通常の建設工事や、製材時に放射性物質の付着した枝や樹皮を処分する林業においても役立つと期待されている。

現在、福島県内では順次除染事業が進められ、除染作業において発生する除染除去物は、主にフレコンバッグに収納され仮置場に集積されている。

しかし、放射性セシウムが付着した葉や草木類の場合には、腐敗による悪臭の発生や内容物に含まれる菌類の発酵に伴う温度上昇と発酵して生成される可燃性ガスにより、自然発火して火災を生じる危険性などの課題がある。

数年後には中間貯蔵施設等へ搬入・処理される予定だが、容器内で性状の変化する草木類については早期の処理が必要となっている。

草木類の減容化処理については焼却処理が最も簡単だが、一般廃棄物との区分が必要なため専用焼却炉が不足し、また、高濃度の灰、特に飛灰の処理・管理が問題となっている。

飛灰には放射性セシウムが大量に付着しており、また、飛灰からは放射性セシウムが水に容易に溶出するため、保管上にも難点がある。三井住友建設などは、これらの点に着目して、焼却処理とは異なる安定・減容化技術の開発を進めてきた。

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